地球の外周がどのくらいかご存じでしょうか?
正解は、約4万km です。
現在、最新の機器を使って概算されているのですが、実はこの地球の外周の計算方法は、ある古代ギリシャの学者が当時の技術で概算した方法と同じ原理で算出されているのです。
その学者が生きていたのは、古代ギリシャ、紀元前250年ごろ。
今からおおよそ2,000年ほど前のことです。
今現在も使われている原理を使って、2,000年以上前にすでに、同じ原理を用いて地球の外周を図ろうとした人物がいたのです。
今回はその学者、エラトステネスについて
解説・お話しします。
地球の外周を測った人物とは?
古代ギリシャに生きた、エラトステネスという学者です。
エラトステネスは古代ギリシャにあるアレクサンドリア図書館の館長を務めており、「初めて地球の外周を測定した人物」として知られています。
あらゆる分野で業績を残していますが、特に数学と天文学の分野で大きな業績を残しています。
有名な業績は、今回解説する「地球の外周の計算」と、素数の判定法である「エラトステネスの篩(ふるい)」です。
このほかにも緯度、経度、音階などについても功績を残しています。
共通点が全くないように見えますが、
色々な分野で功績を残した人物だったんですね!
はい。功績を残した分野の多さから、
彼の興味の広さが分かりますね。
エラトステネスのあだ名「β(ベータ)」
当時の学者たちはエラトステネスに「β(ベータ)」というあだ名をつけていました。
「第二のプラトン」とも呼ばれており、世界で2番目に物事をよく知っている人、という意味で「β(ベータ)」と呼ばれていました。
ですが、これにはもう一つの意味もあり、「その興味の多さゆえに何にでも手を出して一つのことを極めることが出来ない、しょせん2流である」という皮肉も込められている、つまりα(アルファ)ではなくβ(ベータ)であったようです。
地球の外周の測定方法
図書館の館長であるエラトステネスは、本を読んで学ぶうちに、エジプトのシエネという町の近くに、他とは違った井戸があることを知りました。
その井戸では夏至の日の正午に、太陽の光が井戸の底まで届くといいます。
つまり、夏至の日にはシエネの真上に太陽が来るということです。
エラトステネスは、これを利用すれば地球の外周が計算できるのではないかと考えました。
シエネの真北に位置するアレクサンドリアでは、太陽光は斜めに差し込みます。
エラトステネスは、夏至の日に、アレクサンドリアに木の棒を垂直に立て、棒と影の角度を測りました。
この陰の角度は、アレクサンドリアとシエネを地球の中心と結んだときに出来る角度と等しくなります。
この角度から計算すると、シエネとアレクサンドリアの距離は地球の外周の1/50にあたることが分かりました。
シエネとアレクサンドリアの距離を求めることが出来れば、その距離の50倍が地球の外周になります。
エラトステネスは次に、ふたつの町の距離を計測するためにプロの歩測者を雇いました。
プロの歩測者は全く同じ歩幅で歩けるように訓練されており、一歩当たりの距離を測っておいて歩数をかければ距離が出せます。
地球の外周の測定結果とは?
この測量と計算の結果、エラトステネスが算出した地球の外周は、現在の単位に直すと3万9,700kmです。
現在、地球の外周は40,075km、おおよそ4万kmと算出されています。
ちなみに、おおよそ4万kmというキリの良い数字になっているのは、18世紀後半に長さの国際基準が定められた際に、地球の外周をもとに長さを決めたためです。
メートル法で「1mの長さは、赤道から北極までの距離の1000万分の1」と定められました。
ということで、赤道から北極までの距離が1000万m = 1万km、地球の外周はその4倍となるので、4万kmとなるのです。
エラトステネスが算出した地球の外周である、3万9,700km。
今現在の地球の外周と比較すると17%の誤差があります。
この計算がされたのが今から2000年前と考えると、
誤差がたった17%ってすごい精度ですね!
まとめ
紀元前という遥か昔に、自分の豊富な知識を総動員して地球の外周を測ろうとした学者、エラトステネス。
ちなみに、日本でいうと弥生時代にあたる時期で、その頃の日本では大陸から稲作が伝わって広まり、政治的なまとまりである「クニ」がようやくできたころで、当然「文字」なんてものはまだありません。
そんな時代に、かたやヨーロッパでは、地球の外周を、現在と比較しても的外れでもない精度で算出していた学者がいたのです。
そしてその時代にエラトステネスが使った原理が、現在も使われています。
しかもその原理が現在も使われているなんて…
エラトステネスの功績は偉大ですね!
この功績の偉大さが伝わって何よりです!
時代を超えて共鳴する科学のストーリーに、なんだかロマンを感じますよね。
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