太陽から約16億万km離れた位置に存在する土星の衛生「タイタン」
この衛星タイタンは、生命の存在が期待される天体の1つです。
そして驚くことに、タイタンの生命が存在するとしたら、水を必要をせずに生きている可能性があるのです。
小学校の授業でも習った通り「水」は生命にとって必要不可欠で、水がないと生命は生きていけないはず。
では、衛星タイタンの水を必要としない生命とは一体何か?
生物学の根底を引っくり返す常識がそこにあるかもしれない
本記事は「衛星タイタンの生命」について詳しく解説します。
そもそも、衛生「タイタン」とは
主星 | 土星 |
直径 | 約5,151km |
表面温度 | 平均−179度 |
太陽光 | 弱い直射日光 |
大気 | ある |
大気圧 | 1.5気圧 |
主な成分 | 窒素・メタン |
その他、成分 | 水素 |
タイタンは土星の第6衛星で、岩石で形成されている硬い天体です。
直径約5,151kmと、太陽系の衛星の中では、ガニメデ(直径5,268 km)についで2番目の大きさを誇ります。
太陽から衛生タイタンまでの距離は約16億万km離れています。
太陽から地球までの距離が1億4960万kmなので、タイタンは太陽からかなり外側に位置することが分かります。
タイタンは地球と比べると、太陽から10倍以上離れているんですね。
タイタンは地球そっくり?
タイタンと地球には大きな共通点があります。
地球とタイタンの共通点
- 液体の「海」が存在する
- 太陽の熱で海が蒸発し「雲」が生成される
- 雲が重くなると地表に落ちて「雨」となる
これはまさに地球で起きている気象現象と同じと言えます。
なぜ地球と同じ気象現象が起きているのかと言うと、タイタンには「液体の海」が存在するとても珍しい衛星だからです。
地球を除く太陽系の天体で、安定的に液体の海が存在するのはタイタンのみ。
さらに、タイタンは地球と同じく「濃い大気」があることでも有名です。
(大気の主成分は窒素とメタン)
けど、地球と環境が違いすぎる
タイタンって太陽からすごく離れてるんですよね?かなり寒そうなイメージがあるんですけど?
タイタンの平均表面温度は−179℃と極寒の世界です。
え?そんな寒いのに液体の海があるってどういうこと?
タイタンの「メタン循環」とは
表面温度−179度のタイタンは、水が存在してもすぐ凍ってしまうので、液体の水は存在しないと言われています。
しかし、表面温度−179度の環境であるが故に「液体メタン」が存在します。
「メタン」の沸点と融点
メタンは−161度〜−182度だと液体で存在します。
タイタンの平均表面温度は−179度なので、安定的に液体メタンで存在できる温度と言えるのです。
ちなみに、−161度より高い温度だと気体となり、−182度より低い温度だと固体になります。
そして、タイタンに存在する液体メタンは、地球の水循環と同じ「メタン循環」を起こしている訳です。
メタン循環とは
- 液体メタンの海は太陽光で蒸発
- メタンの雲が生成される、
- メタンの雲がメタンの雨をもたらす
ちなみに、タイタン最大の海である「クラーケン海」は約400,000km²もあり、地球のカスピ海より大きいと言われます。
なるほど!で、この流れからすると、タイタンでは「液体メタン」が水の代わりになって、生命が存在するかもしれないってことね?
その通り!
タイタンの「水」に頼らない生命とは?
地球上の生命活動
- 「酸素」を吸収する
- 「グルコース(ブドウ糖)」で代謝を行う
- 「二酸化炭素」を排出する
↑学校で習ったことあります。
では、タイタンの生命活動は?
- 「水素」を吸収する
- 「アセチレン」で代謝を行う
- 「メタン」を排出する
↑よく分からないけど、地球の生物とは全然違うメカニズムってことね?
そうです!もし、水の代わりに「メタンに頼る生命」が発見されれば、生物学の常識を根底から覆す大発見になります。
ただ、メタンに頼る生命は全て推測であることを覚えてほしいです。
生命誕生の壁
いくら、液体メタンが海や河川を形成していても、それは地形が似ているだけで生命の誕生とは無関係。
化学的な観点から見てメタンが水の代わりになるのか?はっきりと分かっていません。
また、メタンと水は性質が大きく違うので、メタンに頼る生命に関して否定的な意見を述べる科学者もいます。
ただ、海や雲があるだけでは生命誕生のきっかけにならないのね?
しかし、メタンが生命誕生に繋がる仮説もあるので、個人的に「メタンに頼る生命」は存在すると思っています!
タイタンは過酷な環境ではない?
もしタイタンに生命がいるとしたら、表面温度−179度の過酷な環境で生きていけるのか?疑問に思ってしまう人もいるはず。
しかし、そもそも「過酷」とはなんでしょうか?
過酷とは?
- ホッキョクグマが砂漠に行くと死んでしまう
- サボテンが北極に行くと死んでしまう
- 海水魚が淡水に行くと死んでしまう
- 淡水魚が海水に行くと死んでしまう
↑なるほど「過酷」って言うのは、その場所に適応している生命の都合でしかないってことね?
その通り!タイタンの生命がいたら、地球は太陽から近すぎる灼熱の世界なので「過酷」な環境になるはず。
つまり、メタンに頼る生命&表面温度−179度は、それが当たり前の世界であり、それが基準になっているので過酷な環境ではないのです。
タイタンに生命がいたらの話ですが
遠い未来、タイタンはさらに生命が誕生しやすい環境になる?
太陽は時間をかけて傍聴していき、太陽の周りを回る天体の表面温度が上昇していきます。
今から50〜60億年後になると、タイタンの表面温度は−179度から−70まで上昇する言われています。
(この頃、地球は太陽に飲み込まれているかも?)
「液体アンモニア」が水の代わりに?
気温上昇によって液体メタンは気体になってしまいますが、代わりに「液体アンモニア」が海や河川を形成すると言われています。
そして、液体アンモニアが水の代わりとなり、アンモニアに頼る生命が誕生する可能性があるのです。
表面温度が上がることで、生命誕生の可能性も上がります。
さらに、アンモニアはメタンより生命誕生に有利な成分と言われています。
その他、地球外生命について
タイタン以外にも、地球外生命の可能性が指摘されている天体はいくつかあります。
↑4つの天体の共通点は「水」が存在すること
やはり「水」が存在しないと、生命の存在は考えられませんでした。
しかし、タイタンが発見されてからは「水に頼らない生命」の存在が考えられるようになったのです。
「水に頼らない生命」の可能性がある衛星タイタンは、飛び抜けて注目度の高い天体なのです。
確かに!水の代わりにメタンに頼る生命なんて別次元の話ですもんね。
2026年に新たな探査機がタイタンに向かう予定
2026年にNASAがタイタンに新たな探査機を送り込む予定。
探査機はドローンを使って、タイタンの地表や海を調査するとのこと。
タイタン到着は2034年(予定)とかなり先の話ですが、ぜひタイタンに生命が発見されてほしいと思っています!
水に頼らない生命が見つかってほしいです!
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