地球の1日は24時間なのは、皆さんもご存知のはず。
しかし、金星だと事情が違い「半年=1日」になるのです。
地球で例えると、昼12時〜次の日の12時を迎えると「2年」とカウントされてしまう事になります。
(語弊のある例えですが)
ちょっとなに言ってるか分からない?
今回は、金星独自の時間の進み方&シミュレーションをご紹介します。
そもそも「1日&1年」の定義とは
1日は「昼〜次の日の昼」まで
1日とは「昼〜次の日の昼」を迎えるまでのことを指します。
(スタートの時間に定義はない)
地球では、地球が1回転する「自転周期=1日」とされています。
地球の1日は24時間であることは皆さんもご存知のはず。
対する、金星の1日は地球時間で116日18時間とかなり長めです。
1年は「太陽の周りを1周」するまで
1年とは「惑星が太陽を1周」するまでの期間を指します。
この、惑星が太陽を1周するまでの期間を「公転周期」と呼びます。
地球では「公転周期=1年」であり、地球の1年は365日であることは皆さんもご存知のはず。
対する金星の1年は225日です。
金星は「自転周期=1日」ではない
地球の公転周期&自転周期
- 自転周期=24時間
- 公転周期=365日
↑地球では自転周期が365日繰り返すことで、1年経つと言うこと。
金星の公転周期&自転周期
- 自転周期=地球時間で243日
- 公転周期=地球時間で225日
↑自転&公転周期だけ見ると、金星の1日は1年より長くなる…
と思いますが、金星の1日は116日なので、1年より長くなりません。
243日÷225日=1.08だから、1.08年で1日を迎えるはずでは?
そう思うのも無理はありませんが、そもそも金星と地球は自転の仕方に大きな違いがあるので、そうはならないのです。
金星だけ自転が逆方法(時計回り)
金星は自転が逆方向(時計回り)に回っているのです。
自転が逆方向(時計回り)
太陽系の惑星は、金星以外全て反時計回りで自転していますが、金星だけは自転が逆方向(時計回り)なのです。
1日の流れは自転&公転の方向や早さも関係しているので、自転が逆方向の金星だけ1日の流れが特殊なのです。
うーん💦分かりやすく説明してほしいです。
では次の項目で、金星の「1日&1年」シミュレーションを、イラストを交えてご紹介します。
金星の「1日&1年」シミュレーション
金星の自転&公転
- 自転は「時計回り」
- 公転は「反時計周り」
A地点「昼の12時」からスタート
金星のA地点は、太陽が一番高く登る昼間12時をスタートとします。
仮に、自転せずに公転するとどうなる?
まずは、自転せずに太陽を公転するとどうなるか?見てきましょう。
自転せずに太陽を公転すると、4分の1周した時のA地点は18時になります。
続いて、太陽を4分の4周(1周)した時まで見ていきましょう。
自転していなくても、太陽の位置関係は変わるから時間は経過するって事ですね?
その通りです。
本題、太陽を「4分の1周」すると
時計回りに自転しながら、太陽を公転するとどうなるか?見てきましょう。
地球時間で「約56日」
時計回りで太陽を4分の1周すると、1日の流れが早くなります。
そのため、4分の1周しただけで、A地点は24時ぐらいになるのです。
太陽を「4分の2周」で、ほぼ1日
地球時間で「約116日」
太陽の周りを時計回りに4分の2周までします。
この時点で、金星は太陽の周りを半分しか回っていませんが、A地点はスタートの昼12時を少しすぎた時間帯。
つまり、金星は自転が半回転しただけで、ほぼ1日を経ってしまう事になるのです。
以上の様に、自転が時計回りだと、1日経つのも早くなるのです。
なるほど、金星の1日の長さが自転周期より短い理由が分かりました。
もし、自転が「反時計周り」だったら?
あの、金星の自転が地球と同じ反時計回りだったら、1日経つのがすごく遅くなりますよね?
金星の自転周期(243日)と、公転周期(225日)はほとんど変わらないので、1日経つまで相当な時間がかかります。
金星の自転が反時計周りだと?
反時計回りで太陽を一周しても、A地点の位置はほとんど変わりません。
そのため、1年経っても1日が中々終わらない事になってしまうのです。
↑1日が地球時間で、何時間かかるかは計算中。
金星だけ自転が逆方向(時計回り)の理由
そもそも、なぜ金星の自転は逆方向なんですか?
逆方向に自転している理由は、3つの説があります。
ジャイアントインパクト説
元々、金星の自転は反時計回りでしたが、巨大な天体の衝突によって自転軸が大きく傾いてしまい、自転が逆方向になってしまった。
これが「ジャイアントインパクト説」です。
もし、巨大な天体が衝突していたら、衝突の残骸で衛星ができてもおかしくないのですが、金星には衛星が存在しません。
「衛星が存在しない」事から、ジャイアントインパクト説は、やや根拠に欠ける説かもしれません。
偶然、自転が時計回りの惑星が生まれた説
太陽系が形成された頃、7つの惑星は反時計回りに自転し始めましたが、1つの惑星だけ時計回りに自転してしまった。
つまり、何か理由があって自転軸が傾いたのではなく「偶然発生した」と言うこと。
世の中には沢山の「偶然」があるのと同じで、金星の自転も偶然の1つなのかもしれませんね?
濃い大気が惑星を動かした説
まず、金星は「濃い大気」があり「太陽に近い」位置を公転する惑星です。
濃い大気を持つ金星が太陽の引力の影響を受けると、地面が少しずつずれて行き、地軸がどんどん傾いてしまった。
これが「大気による自転軸のズレ説」です。
これは、ちょっと難しい説ですね…
イメージしにくいですが「濃い大気」と「太陽に近い」の条件が揃うと、発生する可能性があるのです。
その他、金星の「自転&公転」に関する謎
ここでは、金星の自転&公転周期に関する疑問を解説したいと思います。
他の惑星の自転が反時計回りの理由
そもそも、なぜ金星以外の惑星は反時計回りに自転しているのですか?
主星である太陽の自転が反時計回りなので、他の惑星の自転も反時計回りなのです。
太陽の自転は反時計回り
何かの影響なのか?偶然なのか?分かりませんが、太陽は反時計回りで自転します。
そして、太陽の周りを回る惑星も、太陽の自転に合わせて反時計回りで自転し始めます。
結果、太陽系の周りを回る惑星は「反時計回りで当たり前」と言う構図になるのです。
太陽自体が反時計回りに自転しているのなら、その周りを回る惑星だって反時計回りになる理屈は分かります。
しかし「例外がある」事を、金星が証明していると言えます。
決して、主星の影響を受ける訳ではない?
主星を公転する天体が、必ず主星と同じ自転方法になる訳ではありません。
中には、主星の自転の影響を受けず、逆方向に自転してしまう天体もあるのです。
金星の自転が遅い理由
自転周期 | |
水星 | 約58.6日 |
金星 | 約243日 |
地球 | 24時間 |
火星 | 約24時間37分 |
木星 | 約9.9時間 |
土星 | 約10時間 |
天王星 | 約17時間 |
海王星 | 約16時間 |
↑ご覧のように、金星の自転周期だけ極端に遅い事が分かります。
なぜ、金星だけ自転周期が遅いのですか?
スーパーローテーションが関係している?
金星は風速100m/s (時速360km )に及ぶ猛烈な風が吹いていて、自転速度の約60倍の早さです。
(金星の自転速度は約6km)
この猛烈な風は、4日で金星を一周してしまう事から、スーパーローテーションとも呼ばれています。
この、スーパーローテーションが金星の自転を遅くしているのではないか?と考えられています。
しかし、はっきりした根拠はなく、金星の自転が遅い理由は謎のままでいす。
太陽が西から上り、東に沈んで行く
地球から見て、太陽は東から上り、西へ沈んで行くのは、自転が反時計回りだからです。
しかし、金星の自転は時計回りなので、太陽は西から上り、東に沈んで行く事になります。
太陽が西から上るなんて不思議な環境ですね?
ただ、金星の大気はとても厚く、地表から日の出と日没を見る事ができません。
もっとも、金星は人間が暮らせる環境ではありませんが
短期間で自転速度が変化している?
1990年代の探査で、金星の自転周期は約243日と言う事が明らかになりました。
しかし、16年後に金星の探査した結果、自転周期が6.5分遅くなっていたのです。
人間にとって「16年」はかなり長い年月ですが、宇宙の歴史は数万〜数億年の規模で事が進んでいる世界。
宇宙規模で考えると「16年」と言う期間は、あまりに短いと思いませんか?
確かに!もしかしたら、金星の自転って猛烈なスピードで減速しているのかも知れませんね?
大昔は自転が早かった?
金星の自転が減速している事実があるならば、過去の金星の自転はもっと早かった可能性があるのです。
そして、自転を減速させている原因は、やはり「濃い大気」ではないか?と考えられています。
天王星も自転が逆方向だけど
天王星の地軸は98度傾いている
地軸の傾きが89度までだと反時計回りになりますが、90度を超えてしまうと逆方法(時計回り)になってしまいます。
つまり、地軸が98度傾いている天王星は、理論上自転が逆方法(時計回り)の惑星なのです。
しかし、これはあくまで理論上の話であり、天王星は自転が逆方向の惑星に分類されません。
理論だけで決めてしまうと、キリがないって事ですかね?
そうだと思います。結果、金星だけ自転が逆方法(時計回り)の惑星なのです。
(太陽系の惑星のみ)
まとめ
金星の1日&1年は、地球の1日&1年と大きく異なる事が分かります。
金星だけでなく、広い宇宙には地球の常識が通用しない天体が沢山あります。
金星はまだ謎の多い天体なので、今後の金星探査に期待しましょう。
金星探査で「自転軸が傾いている理由」や「自転速度が遅い理由」などが明らかになってほしいです!
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