地球からはるか遠くに存在する冥王星。
かつて、冥王星は太陽系の第9惑星でしたが「ある理由」で惑星の枠組みから外されてしまい、準惑星になってしまいました。
なぜ、冥王星は準惑星になってしまったのか?
それは、他の惑星とは違う特徴があったからです。
今回は、惑星から除外されてしまった「冥王星」の特徴を詳しく解説します。
冥王星とは?特徴を解説
直径 | 2,376 km |
表面温度 | 平均−233℃ |
重力 | 地球の0.06 |
質量 | 地球の0.0023倍 |
公転周期 | 247.8年 |
自転周期 | 6.7年 |
冥王星は太陽の周りを公転する準惑星です。
太陽からの平均距離は約59 億kmなので、地球から太陽までの距離1億4960万kmと比べると、はるか遠くに位置することが分かります。
太陽から非常に距離が離れているため、表面温度は−233℃と極寒の世界です。
冥王星は1930年クライド・トンボーによって発見され、2006年までは太陽系の第9惑星でした。
しかし、冥王星は他の惑星と比べる異質だったため、2006年惑星から除外され準惑星の枠組みになったのです。
なぜ冥王星は惑星ではなくなってしまったの?
それは、冥王星の特徴を知ることで明らかになります。
大きさや質量
冥王星の大きさ
冥王星を発見した当初、サイズは地球とほぼ同じと思われていました。
しかし、これは衛星のカロンの大きさをプラスしてしまった事で発生した誤差で、実際は直径2,370kmしかなかったのです。
月の直径は3,474kmなので、冥王星は月よりも小さな天体なのです。
直径 | |
冥王星 | 2,370 km |
月 | 3,474 km |
地球 | 12,742 km |
冥王星の質量
冥王星は重さを表す「質量」も低めです。
実際、地球の衛星である月の質量と比べると、0.2倍しかありません。
質量 | |
冥王星 | 1.3×1022 kg |
月 | 7.36×1022 kg |
地球 | 5.97×1024 kg |
太陽系には冥王星より直径&質量が大きな衛星が7つもあります。
冥王星より直径&質量が大きな衛星
- 月(地球の衛星)
- イオ(木星の第1衛星)
- エウロパ(木星の第2衛星)
- ガニメデ(木星の第3衛星)
- カリスト(木星の第4衛星)
- タイタン(土星の第6衛星)
- トリトン(海王星の第1衛星)
こんなに沢山あるんですね!
以上の様に、冥王星はとても小さい&軽い天体なのです。
異常な公転軌道
冥王星の公転軌道
基本的に太陽系の惑星は、黄道面と言ってほぼ真横に並んで太陽の周りを回っています。
しかし、冥王星は黄道面から17度も傾いた状態で太陽の周りを公転しています。
さらに、離心率も大きく楕円形の軌道で太陽の周りを公転しています。
太陽系の8つの惑星は、ほぼ真横&真円に公転しているので、冥王星だけ異質な事が分かります。
大気や成分
冥王星には非常に希薄ですが大気が存在します。
大気圧は0.52 Paで、これは地球の大気圧の20万分の1程度です。
冥王星の大気
- 窒素(90%)
- メタン(10%)
- 一酸化炭素(微量)
成分は彗星とよく似ている
惑星、準惑星と同じく、太陽系の周りを周回する彗星と冥王星の構造はよく似ていると言われます。
そのため、冥王星は巨大化した彗星と言ってもよいのかもしれません。
冥王星の衛星
冥王星には5つの衛星が発見されていますが、特記すべき衛星は「カロン」でしょう。
準惑星の衛星「カロン」とは
カロンの直径は1,208kmであり、衛星としての直径比率はかなり大きめです。
(冥王星の直径は2,370km)
観測技術がまだ未熟だった頃、カロンは冥王星と一緒の天体にされてしまい、冥王星の大きさと質量は過大評価されてしまいました。
しかし、観測技術が向上すると冥王星とカロンは別々の天体である事が存在が明らかになり、冥王星の衛星として認知されたのです。
冥王星とカロンが別々の天体として観測されると、冥王星の大きさ&質量は大幅に下降修正されました。
衛星カロンは、冥王星を惑星だと誤認させてしまった原因と言えるでしょう。
その他、冥王星の衛星
- ステュクス
- ニクス
- ケルベロス
- ヒドラ
冥王星が惑星から除外された理由
ではここで、なぜ冥王星は惑星から除外されてしまったのか?詳しく解説していきます。
惑星としては微妙
冥王星は惑星に分類すると、かなり異質な存在になってしまうのです。
冥王星が他の惑星に比べて微妙である理由
- 小さすぎる&軽すぎる
- 公転軌道がズレ過ぎている
- 成分が彗星に似ている
地球型惑星でもない、木星型惑星でもない
冥王星は地球型惑星に近い存在でしたが、地球型惑星にも木星型惑星にも分類されませんでした。
これは、冥王星は惑星の中では異質すぎて、どっちつかずの存在だったからです。
でも微妙なだけで惑星から外すのはちょっとかわいそう?
冥王星が惑星でなくなった最大の理由は、似たような天体が次々発見されたからです。
似たような天体が続々発見される
近年、観測技術が大幅に上がり、21世紀になると冥王星によく似た天体が続々発見されます。
冥王星によく似た天体とは?
- イクシオン(2001年に発見)
- クワオアー(2002年に発見)
- セドナ(2004年に発見)
- エリス(2005年に発見)
全て彗星ではない、衛星でもない、太陽系の周りを回る天体。
もし、冥王星を惑星にするならば、後から発見された冥王星に似た天体も惑星に入れるべきか?と言う事になってしまいます。
しかし、それでは惑星の数が増えすぎてしまうので、冥王星を含め、冥王星に似た天体は惑星とは別枠で扱うべきとの意見が強くなったのです。
特に、2005年に発見された「エリス」は、冥王星を惑星から除外する決定的な要因になりました。
エリスとは?
太陽から57〜146億km離れた位置に存在する冥王星に似た天体です。
発見当初、大きさ&質量が冥王星よりも大きいと考えられていたため、太陽系10番目の惑星と言われた時期もありました。
しかし、エリスも他の惑星を比べて異質な存在だったので「惑星にすべきではない」との意見が多数でした。
エリスが発見されたことによって、冥王星はいよいよ惑星から除外せざるを得なくなったのです。
エリスの詳細はこちら
2006年冥王星は惑星から除外される
こうして、惑星を除外された冥王星は、準惑星と言う新たな枠組みの1つになりました。
新たな枠組み「準惑星」とは?
惑星と準惑星を定義は以下の通り
「惑星」の定義
- 太陽の周りを公転していること。
- 自己の重力によって球形になるほど十分な質量を持っていること。より明確にいうと、自己の重力により重力平衡形状になっていること。
- 衛星ではないこと
「準惑星」の定義
- 太陽の周りを公転していること。
- 自己の重力によって球形になるほど十分な質量を持っていること。より明確にいうと、自己の重力により重力平衡形状になっていること。
- 軌道上の他の天体を排除していない事。
- 衛星ではないこと
3番目の「軌道上の他の天体を排除していない事」だけがクリアしていないと準惑星に分類される訳です。
「軌道上の他の天体を排除していない事」とは?
詳しくは以下の記事をご覧下さい。
冥王星に生命はいる?
実は、冥王星の地下の海に生命がいるかもしれないのです。
え?生命なんて絶対にいないと思ってた。
地下に液体の水がある
冥王星の表面温度は−233℃と極寒の世界ですが、地下に液体の海が存在すると言われています。
液体の海が存在する理由は「メタンハイドレート」が地層に存在し、断熱材として外部の気温をシャットアウトしているからではないか?と考えられています。
なるほど、ではこの内部海に生命が存在するかも知れないってことね?
46億年間液体の水が存在するならば、冥王星に生命がいても不思議ではありません。
ただ、根拠が乏しいので全て推測になります。
冥王星の探査
冥王星は地球から非常に距離が離れているため、長らく探査機が訪れた事のない未知の天体でした。
2006年に探査機ニュー・ホライズンズが打ち上げられました。
探査機ニュー・ホライズンズは、2015年に冥王星に接近し、冥王星及び、衛星カロンを鮮明に写した画像を撮影。
その後、冥王星の探査を開始します。
探査機ニュー・ホライズンズは、冥王星&カロンの地形や大気成分などの貴重な情報を地球に送り届けました。
この記事の内容も、探査機ニュー・ホライズンズが送り届けてくれた情報が沢山ありますよね?
まとめ
冥王星は「惑星から除外されてしまった」不遇の天体と言われる場合もあります。
しかし、冥王星は準惑星の中では代表的な存在なので、決してネガティブな事ではありません。
むしろ、冥王星は「準惑星」と言う枠組みの中ではリーダー的存在なのです。
確かに!そう言う考え方もありますね。
冥王星はまだまだ未知な部分が多いので、今後の探査にも期待しましょう。
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