金星は地球と共通点が多いことから、地球の姉妹惑星と呼ばれています。
しかし、地球と比べると金星の環境は「地獄」そのもの。
では、金星の「地獄」とは一体なにか?
地球に似ているけど、似ていない
今回は、地獄の惑星「金星」の特徴を徹底解説します。
金星ってどんな惑星?特徴を解説
直径 | 12,104 km |
表面温度 | 平均460℃ |
重力 | 地球の0.82倍 |
質量 | 地球の0.81倍 |
公転周期 | 225日(地球時間) |
自転周期 | 243日(地球時間) |
金星は太陽系の2番目の惑星で、硬い岩石で形成された地球型惑星に分類されます。
金星から太陽までの距離は約1億820万kmで、地球から最も近い惑星です。
(地球から太陽からの距離は1億4960万km )
自転が逆方向(時計回り)
金星の自転は、上(北極)から見て「左周り」であり、太陽系の惑星の中では唯一自転が逆方向に回っています。
なぜ、金星だけ自転が逆方向なのか具体的な理由は分かっていません。
ちなみに、金星の自転周期(金星の1日)は地球時間で116日と、自転がとても遅いことが分かります。
(金星の自転速度は時速6km弱)
太陽、月に次いで明るい星
夜空に輝く金星は、太陽、月についで明るく見えることから「宵の明星」「明けの明星」の異名を持ちます。
その明るく輝く見た目から、金星の英語名はローマ神話の「美と恋の女神」を意味するVenus (ヴィーナス)と名付けられています。
美と恋の女神なんてロマンチックですね!
当時の人たちは、金星の恐るべき環境を知りませんでしたからね。
大きさ・質量・重力
金星 | 地球 | |
直径 | 12,104 km | 12,742 km |
重力 | 地球の0.82倍 | 1倍 |
質量 | 地球の0.81倍 | 1倍 |
なるほど、確かにサイズは地球によく似ていますね。
地球の姉妹惑星と呼ばれる由縁は、直径・重力・質量が地球よく似ているからです。
ただ、姉妹と呼べる点は本当にここまでかも知れません。
大気や成分
金星の主成分
- 二酸化炭素(96.4%)
- 窒素(3.5%)
- 二酸化硫黄(0.015%)
- 水蒸気(0.002%)
金星の大気って、地球と全然違うんですね?
そうなんです。そして、この多すぎる二酸化炭素のおかげで、地表はとんでもないことになってます。
金星恐るべし!地表の様子とは?
ここでは、金星が地球とは似ても似つかない「地獄の惑星」である理由を解説します。
平均気温が460℃もある
金星の平均温度
- 昼は460℃
- 夜も460℃
金星の表面温度は太陽から一番近い水星の平均気温430℃(昼間)を上回ります。
そのため、金星は太陽系の中で最も暑い天体なのです。
金星ってなんでこんなに気温が高いんですか?
それは、金星の主成分「二酸化炭素」による温室効果の影響です。
「二酸化炭素」の温室効果とは
二酸化炭素は太陽の熱(赤外線)を吸収して、熱の放出を防ぐ性質があります。
金星は主成分が二酸化炭素のため温室効果が非常に高く、昼でも夜でも460℃が維持されるのです。
ちなみに、二酸化炭素の温室効果のメカニズムは「地球温暖化」とほぼ同じです。
金星は、究極に温暖化が進んだ惑星なのです。
温暖化の恐ろしさが分かります…
猛烈な風が吹いている
金星の上空は、風速100m/s (時速360km )に及ぶ超暴風が吹き荒れています。
金星の風は「スーパーローテーション」と呼ばれ、4日で金星を一周してしまうほどです。
あの、風速100m/s (時速360km )ってどれぐらい強いんですか?
地球上の風の強さの表現
- 静穏・風速0.3m/s 未満の風
- やや強い風・10m/s 以上 15m/s 未満の風
- 強い風・15m/s 以上 20m/s 未満の風
- 非常に強い風・20m/s 以上30m/s 未満の風
- 猛烈な風・風速30m/s 以上、または最大瞬間風速50m/s以上の風
なるほど、金星の風は桁違いに強いんですね💦
もし、人間が金星の風をモロに受けたら吹き飛ばされてしまいます。
なぜ、これほど強い風が吹いているのか詳しく分かっていません。
ちなみに、海王星ではもっと強い風(時速2,200km )が吹いています。
硫酸の雨が降っている
金星の分厚い雲は、水蒸気ではなく「硫酸」で構成されていて、硫酸の雨が降っています。
硫酸とは
強い酸化作用があり、金属や岩石、人間をも溶かしてしまう危険な成分です。
硫酸が空から降ってくるなんて、まさに地獄ですね💦
でも、海や湖は無い
金星の表面温度は460℃なので、硫酸の雨は地表に届く前に蒸発してしまいます。
そのため、雨は降っているけど液体の海や湖は存在しないのです。
地表は92気圧の超高圧力
気圧とは気体の圧力のことで、地球の表面は1気圧です。
対する金星は92気圧もあり、これは水深920mで受ける圧力と同じです。
金星の地表は、非常に強い圧力がかかっていることが分かります。
ちなみに、人間が92気圧を受けるとどうなるんですか?
一瞬で潰れてぺちゃんこになってしまうでしょう。
金星には海が存在していた?
金星は色々と過酷な環境であることが分かったと思いますが、過去に液体の海が存在していた可能性があるのです。
え、そうなんですか?
金星の海の消失について
大昔の金星には、地球と同じく液体の水が存在し広大な海を形成していた可能性があります。
しかし、金星は太陽に近すぎるので、大半の水が蒸発して宇宙空間に流出してしまったと考えられています。
現在の金星にも、ごく少量の水(水蒸気)が存在しますが、海を形成できるほど大量に存在しません。
金星に生命はいる?
金星に生命など存在しないと思いますが、生命存在の可能性は0ではないと思っています。
え?生命なんて絶対いないと思ってました。
空の上はハビタブルゾーン?
金星の上空50km付近は、平均温度が27℃、大気圧は0.5気圧です。
金星の上空は地球に近い環境なので、上空であれば生命が存在できる可能性があるのです。
上空ってことは、翼のある鳥みたいな生き物かしら?
いえ、宙に浮くほど超軽量の微生物ではないか?と考えられています。
もちろん、全て構想の話ですが
人間の移住先にもなる?
金星は地球から距離が近く、大きさ&重力も似ているので、人類の移住先の候補と言われます。
先述の様に上空は地球に近い環境なので、なんらかの方法で上空に移住地(コロニー)を建設できれば人類の移住も決して不可能ではないのです。
「天空の城」を建設できる技術があれば、金星に住める日が来るかも知れません。
ただ、硫酸の雲の対策は必須
天空の城ってなんかの映画で見たことあるような。
金星は過酷すぎて探査が難しい
金星は地球から最も近い惑星なのに、探査が進んでいません。
これは、金星が過酷な環境すぎて探査機を送っても数時間で壊れてしまうからです。
金星の過酷な環境を改めて
- 平均気温が460℃
- 猛烈な風が吹いている
- 硫酸の雨が降っている
- 地表は92気圧の超高圧力
60〜80年代にかけて、アメリカとソ連が競って金星に探査機を送り込みましたが、まともに着陸できた探査機は僅かです。
今後の金星探査の予定
ロシアが計画している金星の探査機「ベネラ-D」は、長期探査を見越して頑丈に設計されています。
ベネラ-Dは2025年に打ち上げ予定
金星はまだ謎の多い惑星なので、今後の探査で新たな発見があるかも知れません。
金星の新しい探査、楽しみにしてます!
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