地球の1つ外側を公転する「火星」
表面は乾いた大地が広がる砂漠地帯。
しかし、太古の火星には広大な海があったかもしれないのです。
さらに、地球との共通点も多く、人類の移住先候補としても注目を集めています。
では、火星はどんな惑星で、どんな特徴があるのか?
今回は「火星」の特徴を詳しく解説します。
火星ってどんな惑星?
直径 | 6,779 km |
表面温度 | 昼間 20℃ 夜 −140℃ |
重力 | 地球の0.38倍 |
質量 | 地球の0.1倍 |
公転周期 | 約687日(地球時間) |
自転周期 | 約24時間37分(地球時間) |
火星は太陽系の4番目の惑星であり、岩石できた地球型惑星です。
地球の1つ外側に位置していて、太陽からの平均距離は2億2790万kmです。
(地球から太陽までの距離1億4960万km)
太陽から近く的距離が近いため、赤道付近の気温は20℃に達することもあります。
しかし、温室効果のある大気と水蒸気が少ないため、夜は−120℃まで冷え込みます。
火星は大気が少ないので、地表は熱しやすく冷めやすいのです。
地球は大気と水蒸気が沢山あるから、夜になっても温かいのですね?
発見は有史以前
火星は地球からの距離と大きさもあって、肉眼で簡単に観測できる天体です。
そのため、古くからその存在を知られていました。
大きさや質量
火星の大きさ
直径 | |
地球 | 約12,742km |
火星 | 約6,779 km |
太陽 | 約1,392,700km |
火星の質量
質量 | 地球と比較 | |
地球 | 5.9742 × 1024 kg | 1倍 |
火星 | 6.39 × 10^23 kg | 地球の0.1倍 |
太陽 | 1.98892 × 1030 kg | 地球の約33万3,060倍 |
火星の大きさは地球の半分ほどですが、質量は10分の1しかありません。
火星って思った以上に小さい&軽い惑星なんですね。
大気や成分
火星の希薄な大気
火星には大気が存在しますが、地球と比べると非常に希薄です。
実際、火星の大気圧は、地球の大気圧に比べて0.75%しかありません。
火星の大気の内訳は以下の通り。
火星の主成分
- 二酸化炭素(約95%)
- 窒素(約2.7%)
- アルゴン(約1.6%)
- 酸素(約0.13%)
- 一酸化炭素(約0.08%)
- 水蒸気(微量)
「水」があるけど
火星には、少量ですが極地域に水が存在することが分かっています。
しかし、気温が低いので地表の水は個体(氷)でしか存在できません。
地下に液体の水(内部海)が存在するかもしれませんが、詳しい事は不明です。
内部構造
酸化鉄(赤サビ)で地表が赤く見える
火星は岩石よりも金属の割合が多く、地表は酸化鉄(赤サビ)を多く含んでいます。
この、大量に存在する酸化鉄(赤サビ)の影響で惑星全体が赤く見えるのです。
火星が赤く見える理由は「赤サビ」だったんですね?
その通り。火星は別名 Red planet (赤い惑星)とも呼ばれています。
火星の衛星
火星には「フォボス」と「ダイモス」と言う小さな衛星が存在します。
フォボス
直径20km前後の小さな衛星です。
フォボスは火星から約9,300mしか離れておらず、太陽系の衛星の中では最も主星に近い位置で公転しています。
ダイモス
ダイモスの直径は12km前後と、フォボスより小さな衛星です。
火星から約23,000m離れた位置で公転しています。
フォボスとダイモスのルーツは小惑星で、火星の引力に引き寄せられて衛星になったと考えられています。
確かに、見た目も大きさも小惑星みたいですよね。
天体の衝突によって衛星が形成された「ジャイアントインパクト説」の可能性もあります。
火星の面白い特徴まとめ
ここでは、火星の面白い特徴&雑学をご紹介します。
太陽系で一番高い山がある
オリンポス山
火星には太陽系最高峰の「オリンポス山」が存在します。
オリンポス山の高さは約27,000mもあり、地球最高峰のエベレストの約3倍の高さです。
オリンポス山の大きさを、エベレストと富士山で比較してみましょう。
標高 | カルデラ(火口)の長さ | 裾野 | |
オリンポス山 | 約27,000m | 6,000〜8,000m | 約550km |
エベレスト | 8,850m | なし | なし |
富士山 | 3,776m | 約780m | 約153km |
富士山はもはや小人って感じですね。
カルデラ(火口)に富士山が収まる?
オリンポス山の頂上に存在するカルデラ(火口)の長さは6,000〜8,000m、深さ3,200mを誇ります。
このカルデラ(火口)の大きさは、富士山がほぼ収まってしまうほど巨大です。
カルデラだけで富士山並みって…オリンポス山の巨大さが分かります。
オリンポス山が巨大な理由
オリンポス山は噴火によって形成された山です。
火星は地球より重力が小さいので、火山活動が大規模になりやすく、ここまで巨大な山になったと考えられています。
太陽系で一番深い谷(渓谷)がある
マリネリス渓谷
火星には太陽系最大の渓谷である「マリネリス渓谷」が存在します。
マリネリス渓谷の長さは4,000kmもあり、火星の半径を超えるほど巨大です。
(火星の半径は約3,390km)
マリネリス渓谷がどれほど巨大なのか?地球最大の渓谷である「グランドキャニオン」と比べてみましょう。
長さ | 深さ | 幅 | |
マリネリス渓谷 | 約4,000km | 最大で約7km | 最大で約200km |
グランドキャニオン | 約446km | 最大で約1,2m | 幅6〜29km |
なるほど、渓谷の巨大さも分かります。
マリネリス渓谷ができた理由
数十億年前、大規模な地殻変動によってマリネリス渓谷が形成されたと考えられています。
マリネリス渓谷が形成された頃の火星は、水や大気が豊富に存在していました。
そのため、水の流れや風の圧力になる侵食作用も活発に働き、ここまで巨大な渓谷になったと思われます。
太陽系で「一番高い山」と「一番深い谷」が存在する惑星、それが火星なのです。
かつて広大な海があった?
太古の火星は地球そっくり?
数十億年前の火星には、広大な海が存在していた可能性が指摘されます。
これは、火星探査を行った結果、鉱物学的にも地形学的にも、太古に広大な海が存在していた証拠が発見されたからです。
では、太古の火星はどんな様子だったのか?簡単に解説します。
ノアキス代の火星
ノアキス代は、今から41億〜37億年前の火星です。
この頃、地表には水が豊富に存在していて、北半球には深さ1,600m以上の海があったと考えられています。
さらに、地球の0.5気圧ほどの厚い大気も存在していました。
水や大気が豊富に存在するので、現在より温暖な気候だったと思われます。
ノアキス代の火星には生命がいたんですかね?
いてもおかしくありませんが、ノアキス代は隕石が頻繁に衝突し、火山活動も活発だったので、生命が育むには厳しい時代だったかもしれません。
ちなみに、ノアキス代末期に火星の磁場が消失したと考えられています。
磁場の消失は、大気と水が宇宙空間に流出する原因の1つとなります。
ヘスペリア代の火星
ヘスペリア代は、今から37億〜30億年前の火星です。
隕石の衝突も減り、火山活動も落ち着いてきた頃です。
この時代の火星には、ノアキス代を超える大規模な海が存在し、地表の3分の1は海洋だった可能性があります。
海にはミネラルが豊富に含まれていて、生命が誕生しやすい環境でした。
ヘスペリア代は、生命が存在していた可能性が最も高いかもしれません。
今の地球に近い環境ですよね?
その後、砂漠化していく火星
ヘスペリア代が終わると、火星は徐々に冷えていきます。
これは、磁場の消失と、小さすぎる重力によって、大気が宇宙空間に流出してしまい、温室効果がなくなってしまったからです。
ヘスペリア代に存在していた水の80%以上が、宇宙空間に流出してしまったと考えられています。
一部地域がハビタブルゾーン
火星は太陽から近すぎない&遠すぎない、ちょうど良い位置であるハビタブルゾーン圏内と言われています。
太陽系でハビタブルゾーン圏内に位置する惑星は、地球と火星の2つだけです。
しかし、地球と違って惑星全体がハビタブルゾーンに収まっている訳ではありません。
移住先の有力候補
火星は地球との共通点が多いので、将来の移住先候補の天体でもあります。
火星移住に有利なポイント
- 地球から近い
- 一部の地域がハビタブルゾーン圏内
- 1日の長さが地球とほぼ同じ
- 赤道傾斜角が地球に近く、四季が存在する
- 個体(氷)だか水が存在する
- 希薄だが大気が存在する
- 植物に必要な二酸化炭素の量が地球より多い
なるほど、いつか人間は火星で暮らす日も来るかもしれませんね。
火星に生命はいる?
現状、火星の生命は未発見です。
火星の探査は何度も行われていますが、少なくとも地表に生命は存在しない可能性が高いです。
生命がいるとしたら、地下の内部海などが候補に上がりますが、顕微鏡レベルの微生物しかいないと思われます。
ちなみ、火星由来の隕石から生命の痕跡らしき物が発見されたので、過去に生命がいたかもしれません。
海があった時代の方が生命がいそうですよね。今は乾燥しちゃって残念です…
火星の生命について詳しく解説した別記事もあるので、ぜひご覧下さい。
火星の探査
火星は距離の近さと、移住先の候補であることから、数多くの探査が行われています。
特に、探査車「キュリオシティ」は火星に秘められた数多くの謎を解明しました。
「キュリオシティ」とは
キュリオシティは、遠隔操作で動く無人探査者です。
数千万年以上前、火星に液体の水が存在していた事を証明したほか、有機分子の存在も明らかにしました。
さらに、季節ごとに量が異なる「メタン」を発見し、火星に生命が存在する痕跡を発見したのです。
そして、現在は火星の岩石や砂を直接地球に持ち帰る「マーズ・サンプル・リターン・ミッション」が計画されています。
「マーズ・サンプル・リターン・ミッション」とは
これまでの火星探査は、探査機が地表を調査して、そのデータを地球に送り届けていました。
しかし、複雑なデータの送信は困難であるほか、送られてくる情報量も限定的でした。
そこで、火星の岩石や砂を地球に持ち帰るサンプル・リターンが計画されているのです。
火星の成分を、研究設備が整った地球で調査すれば、数多くの謎が解き明かされるはずです。
なるほど、マーズ・サンプル・リターン・ミッション楽しみです。
ロケット打ち上げの日時などは未定です。
まとめ
火星って生命の可能性や海の存在以外にも、いろんな特徴や雑学があって面白かったです。
先述の通り、火星は移住先の候補であるため、今後も積極的に探査が行われる予定です。
今後の火星探査によって、新たな発見があるはずです。
新しい火星の情報も楽しみにしています!あと、生命も発見されてほしいですね。
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