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条件が厳しい?ハビタブルゾーンの定義を詳しく解説!暑くも寒くもない領域に生命はいるのか?

パラバース博士

今回は「ハビタブルゾーン」について解説します。

ハビタブルゾーンとは?

簡単に言うと、地球によく似た生命が存在できる領域の事で

訳すと「生命が住める領域」になります。

太陽系のハビタブルゾーンはこちら

↑太陽系では地球が唯一のハビタブルゾーンとも

暑すぎない&寒すぎないエリアがハビタブルゾーンって事ですね?

パラバース博士

その通り!ハビタブルゾーン領域に存在する天体は、太陽系外にも多数あり、地球外生命の可能性も指摘されているのです。

パラバース博士

今回は、宇宙生命の秘密が分かる「ハビタブルゾーン」について詳しく解説します。

目次

ハビタブルゾーンとは?

恒星の大きさ&温度別のハビタブルゾーンの予想図
パラバース博士

ハビタブルゾーンで重要なポイントは恒星との距離ですが、天体の環境も指標の1つになります。

名称がゾーン(領域or空間)であっても、地球上の生命が生きて行けない過酷な環境であれば、ハビタブルゾーンの天体とは言えないのです。

例として、月は太陽からちょうど良い位置にありますが、大気や水がないのでハビタブルゾーンにある天体と呼べないのです。

「地球上の生命」って事は、人間の住みやすさは関係ないんですか?

パラバース博士

その通りです。ハビタブルゾーンはあくまで地球上の生命の住みやすさで決まるので、人間の居住性は考慮されていないと思って下さい。

ただ、人間は地球上の生命なのでハビタブルゾーンの条件と比例している事実はあります。

ハビタブルゾーンの定義とは?

  • 恒星を公転している天体
  • 恒星から近すぎない&遠すぎない
  • 液体の水、十分な大気圧がある
  • 地球に似た生命が生きて行ける

太陽系のハビタブルゾーンはどの辺り?

パラバース博士

太陽系のハビタブルゾーンは、約1億4500km〜2億794kmの間 とされています。

地球から太陽まで「約1億5000万km

太陽系のハビタブルゾーンがどこからどこまでなのか?専門家によって意見が異なります。

実際、火星は太陽から約2億3000万km離れているので、一般的にはハビタブルゾーンの外になりますが、一部地域はハビタブルゾーンに入っているとの意見もあるのです。

パラバース博士

個人的に、火星はハビタブルゾーン圏内の惑星だと思っています。

恒星の大きさで条件が変わる

あの、恒星って種類によって大きさ&温度が変わりますけど、それによってハビタブルゾーンの位置も変わるんですか?

パラバース博士

その通りです。

単純な話ですが、大きくて温度の高い恒星ほどハビタブルゾーンは離れた位置に存在し、小さくて温度の低い恒星ほどハビタブルゾーンは近くに位置します。

銀河系だけで見ると、多くの恒星系のハビタブルゾーンは太陽より近いと考えられています。

なぜなら、太陽は銀河系の中で上位10%に入るほど大きな恒星だからです。

つまり、太陽系のハビタブルゾーンは銀河系規模で見るとかなり離れた位置にあると言えるのです。

小さな恒星のハビタブルゾーンは危険?

赤色矮星とその周りを回る惑星の想像図
パラバース博士

ハビタブルゾーンが恒星の近くなるほど危険と言われています。

なぜですか?

恒星の爆風に巻き込まれやすい

常時、膨大なエネルギーを生み出している恒星の表面は、ガスを放出しています。

この、恒星から噴き出したガスの流れを恒星風(太陽風)と呼ぶのです。

パラバース博士

何となく分かると思いますが、恒星から距離が近い天体ほど恒星風の影響を受けやすいです。

「恒星風=爆風」ならば、近い位置にあるほど影響を受けやすいのは当然ですよね。

パラバース博士

そして、恒星風は恒星の近くを公転する天体に様々な悪影響を与えてしまいます。

恒星風で発生する悪影響とは?

  • 大気が剥ぎ取られる
  • 地表が放射線で汚染される
  • 水が宇宙空間に放出する

↑恒星風って恐ろしいんですね💦

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恒星風で大気が剥ぎ取られる惑星の想像図

大きな恒星ほど安全?

太陽ほどの大きな恒星は、ハビタブルゾーンがかなり遠いので恒星風(太陽風)の影響をほとんど受けないので安全と言えます。

しかし、小さな恒星はハビタブルゾーンが近いため、恒星風の影響を受けやすくて危険なのです。

パラバース博士

危険と言われるハビタブルゾーン圏内の惑星の一部をご紹介します。

惑星名主星(恒星)までの距離主星(恒星)の種類
プロキシマ・ケンタウリb約795万 km赤色矮星
ケプラー296e約880万km赤色矮星
ロス128b約750万km赤色矮星
TRAPPIST-1e約421万km赤色矮星
太陽から地球まで約1億5000万km
パラバース博士

↑ご覧の様に、ハビタブルゾーン圏内の系外惑星は、赤色矮星(せきしょくわいせい)を公転している場合が多いのです。

赤色矮星(せきしょくわいせい)って何ですか?

赤色矮星(せきしょくわいせい)とは

恒星の中でも特に小型で、直径&質量が太陽の10%前後しかありません。

表面温度も2000℃前後なので、必然的にハビタブルゾーンも近くなります。

(太陽の表面温度は約6000℃)

銀河系に存在する恒星の約75%が赤色矮星なので、赤色矮星はごく一般的な恒星と言えるのです。

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あの、銀河系の75%が赤色矮星って事は、銀河系のハビタブルゾーンにある惑星のほとんどが危険って事じゃないですか?

パラバース博士

理論的にはそうなってしまいます。

さらに、赤色矮星の周りを公転する事でもう1つ問題が出てきます。

灼熱&極寒の惑星になっている?

温度は例です。

赤色矮星のハビタブルゾーンは、恒星の重力を強く受けるエリアであり、潮汐固定によって惑星が常に同じ面を向けている可能性があるのです。

惑星が常に同じ面を向いてしまうと、日向の地域が灼熱、日陰の地域が極寒の世界になっているかもしれません。

潮汐固定とは?

主星を公転する天体が主星の重力の影響を強く受けると、天体が常に同じ面を向けて公転する現象です。

主星近くで公転する天体ほど潮汐固定されやすく、赤色矮星のハビタブルゾーンは距離的に潮汐固定されてしまう可能性が高いのです。

潮汐固定が発生している身近な例では、地球と月の関係があります。

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潮汐固定でますます生命に不都合な環境になってしまうのですね?

パラバース博士

しかし、潮汐固定はむしろ良い結果をもたらす可能性もあると思っています。

なぜですか?

潮汐固定が良い影響をもたらす?

潮汐固定で片面だけ日向の惑星の想像図

もし、潮汐固定で永遠の日向になっている地域は、恒星から近ければ灼熱になってしまいますが、距離が離れれば適温になる可能性があります。

さらに、恒星から離れれば恒星風の影響も少なくなります。

もし、潮汐固定で恒星に同じ面を向けている場合、ハビタブルゾーンより少し外側に位置する惑星であれば、むしろ生命が育みやすい環境になっているかもしれないのです。

小型の恒星に限った話です。

この場合、潮汐固定がメリットになりますね。

パラバース博士

その通りです。ただ、恒星から離れすぎると潮汐固定が解除されてしまうので注意が必要です。

↑条件に当てはまる惑星はあると思いますか?

パラバース博士

正直、ここで解説した内容は全て推測なので、絶妙な位置なんて存在しない可能性もあります。

ハビタブルゾーンの外にも生命はいる?

ここまでの内容を聞くと、生命はバビタブルゾーンしか存在できないと思ってしまいますが、そんな事はないと思っています。

なぜなら、ハビタブルゾーンの定義は「地球に似た生命」の存在の可能性なので、地球に似ていない生命であれば話は別なのです。

パラバース博士

宇宙は広いですから、地球上の常識を覆す生命がいたっておかしくないのです。

なるほど、地球上の常識を覆す生命ってどんな生命なんでしょうか?

パラバース博士

仮説はあるのでご紹介します。

太陽光に頼らない生命

太陽光の代わりとなるエネルギー源「熱水噴出孔」
パラバース博士

まず、太陽(恒星)エネルギーに頼らない生命の存在についてです。

一昔前までは、太陽(恒星)エネルギーがないと生命は誕生しないと考えられてきました。

しかし、1949年の調査で太陽エネルギーが届かない深海に生命が発見されると、太陽エネルギーがなくても生命が誕生する可能性が明らかになったのです。

地球上に存在する太陽エネルギーを必要としない生命は、熱水噴出孔と言う独自の熱源に頼っていると考えられています。

パラバース博士

土星の衛星「エンケラドゥス」は熱水噴出孔の熱源で生命がいるかもしれません。

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地球上の常識を覆す生命

土星の衛星「タイタン」の表面の想像図

そもそも、地球上の生命は全て地球の都合で形成されています。

地球に住む人間が決めた「生命が誕生する条件」も、地球に住む人間が勝手に決めた定義とも言えるのです。

広い宇宙を見渡すと、ハビタブルゾーンどころか、地球の常識が一切通用しない生態系が存在する可能性もあるのです。

例として

  • 水がなくても生きていける生命
  • 炭素がなくても生きていける生命
  • 表面温度−180℃が適温

↑こんな事ありえるんですか?

パラバース博士

全て仮説ですが、否定できる根拠もありません。

パラバース博士

土星の衛星「タイタン」では、液体メタンが水の代わりになっているかもしれないのです。

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ハビタブルゾーンにある惑星まとめ

パラバース博士

ここでは、ハビタブルゾーンに存在する、もしくは可能性のある天体をご紹介します。

太陽系の中

地球

太陽系でハビタブルゾーン圏内とはっきり言える天体は地球のみです。

ハビタブルゾーンの定義は地球の生命を基準にしているの、太陽と地球は最高の位置関係と言えるのです。

地球の特徴はこちら

火星

否定意見もありますが、火星も一部地域がハビタブルゾーン圏内と言われています。

暖かい地域だと20℃に達する地域もあり、地球と比べると少なめですが大気も存在します。

そのため、火星は生命が存在する可能性が期待されています。

火星の特徴はこちら

太陽系の外(系外惑星)

系外惑星「ケプラー1649c」表面の想像図
パラバース博士

太陽系外惑星にも、ハビタブルゾーン圏内の惑星が発見されています。

パラバース博士

ハビタブルゾーン圏内にあると考えられる系外惑星の一部をご覧下さい。

その他、数十個以上の惑星が発見されています。

これだけあるなら、どこかの惑星に生命がいてもおかしくありませんよね?

パラバース博士

私もそう思っています。ただ、系外惑星だと液体の水や大気があるのか?詳細が全く分からないのです。

パラバース博士

つまり、系外惑星のハビタブルゾーンは、本当にゾーン(距離)だけで決めているのです。

一番近くの系外惑星「プロキシマ・ケンタウリb」ですら4.3光年(39.7兆km)も離れているので、現代の技術で惑星の環境を調べるのは不可能。

いつか地球はハビタブルゾーンから外れる?

位置は例です。
パラバース博士

今でこそ、地球はハビタブルゾーンの中にありますが、遠い将来ハビタブルゾーンから外れると言われています。

なぜですか?

太陽は長い年月をかけて膨張して行きます。

今から、約10億年経つと太陽の膨張&放射熱の増大によって、地球はハビタブルゾーンから外れると考えられています。

ハビタブルゾーンを外れた地球は、液体の水が蒸発してしまい、ほぼ全ての生命が絶滅してしまいます。

さらに、50〜70億年経つと太陽は地球の軌道近くまで膨張し、地球は灼熱地獄の世界になってしまうのです。

なるほど、地球はいずれ滅びる運命なんですね…その頃人類はどうしているんでしょうか?

パラバース博士

人類は他の惑星&衛星に移住するか?その前に滅ぼるか?それは未来だけが知る事実です。

他の天体がハビタブルゾーンになる?

ハビタブルゾーンが外側に移動すると、他の惑星&衛星がハビタブルゾーンに入る可能性があります。

実際、火星、エウロパ、タイタンなどの天体は、太陽の膨張によって今より生命が育みやすい環境になるとの考え方もあります。

まとめ

パラバース博士

結論、ハビタブルゾーンの中にある天体は奇跡と言って過言ではありません。

確かに!宇宙は広いし、恒星系のわずかなエリアに、水や大気がある惑星なんて奇跡中の奇跡ですよね。

そう考えると、ハビタブルゾーンの地球に住んでいる私たちって奇跡の存在なんだなって思います。

パラバース博士

私もそう思います。また、宇宙は広いですから、ハビタブルゾーン関係なく生命が存在する奇跡の惑星も存在するかもしれません。

ハビタブルゾーンの中でも外でも、いつか地球外生命が発見されてほしいですね!

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