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生命の脅威「恒星風」とは?原理やメカニズムを徹底解説!

今回は、恒星&太陽で発生している恒星風(こうせいふう)をご紹介します。

「風」の名が付きますが地球の風とは異なり、恒星風は生命にとって脅威となります。

では、恒星風とは一体何か?

原理やメカニズムはどうなっているのか?

パラバース博士

本記事は、恒星風の特徴や発生メカニズムを詳しく解説します。

目次

恒星風(こうせいふう)とは?

パラバース博士

恒星風とは、恒星から噴き出しているガス(プラズマ)の流れです。

恒星は核融合反応によって膨大なエネルギーを生み出していると同時に、大量のプラズマを放出しています。

この、恒星から常に放出しているプラズマの流れを恒星風と呼ぶのです。

恒星風はプラズマだけでなく、強力な放射線や紫外線も放出しています。

太陽でも恒星風が発生していて、太陽の場合は太陽風(たいようふう)と呼ばれます。

プラズマとは?

ガス(気体)を超高温に熱すると電子とイオンが電離した状態なり、これをプラズマと呼びます。

プラズマは「個体」「液体」「気体」とも異なる物質の1つ形態です。

恒星フレアとの違い

「恒星フレア」と「恒星風」は混合されがちですが、2つは異なる現象です。

恒星風は、恒星から常に放出しているガスの流れ(風)や、恒星フレアで発送するガスの流れ(風)を表すのに対して

恒星フレアは確率で発生する爆発を表しています。

「恒星フレア=爆発」で「恒星風=爆風」と言った感じでしょうか?

パラバース博士

ここでは、その様に覚えて頂いて大丈夫です。

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恒星風が発生するメカニズム

白い光が薄い大気(コロナ)であり恒星風(太陽風)の大元

恒星風の大元は恒星の「大気」

恒星の表面にはコロナ(薄い大気)が存在しますが、超高温のため電子とイオンに電離したプラズマになっています。

(太陽のコロナは100万度以上)

ガスが高温のプラズマに変化すると宇宙空間に放出されやすくなり、恒星から放出されたプラズマが恒星風になるのです。

恒星風のプラズマに含まれる成分

  • 水素
  • ヘリウム
  • 酸素
  • 炭素

など

パラバース博士

恒星風に含まれる成分は、恒星の種類によって異なります。

小さな恒星ほど放出される

恒星表面のプラズマは、重力の強い恒星であればある程度引き留める事が可能です。

しかし、重力が弱い小型の恒星はプラズマを引き留めるのが難しく恒星風が遠くまで放出されやすいのです。

パラバース博士

赤色矮星系の惑星は、恒星風の脅威が大きいと考えられています。

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恒星風が周囲の天体に与える影響

パラバース博士

恒星風は強力なエネルギーを放出しているので、公転している惑星&衛星にも大きな影響を及ぼします。

どんな影響があるのでしょうか?

オーロラを発生される

オーロラは、恒星風のプラズマが天体に存在する原子と衝突する事で発生します。

そのため、オーロラの発生源は恒星風とも言えるのです。

綺麗なオーロラが見れるのは、恒星風(太陽風)のおかげでんですね!

パラバース博士

その通り。しかし、良い事はこれだけかもしれません。

大気や水が剥ぎ取られる

恒星風の衝撃波で大気が剥ぎ取られる惑星の想像図

恒星風の衝撃波は凄まじく、近くの惑星or衛星の大気や水を剥ぎ取り宇宙空間に流出させてしまいます。

そのため、恒星風は頻発している近くの惑星or衛星は、水も大気もない不毛地帯になっている可能性があるのです。

当然、水も大気もない環境では生命が誕生する事はありません。

パラバース博士

かつて、火星には豊富な水や大気があったと思われますが、恒星風(太陽風)によって、水や大気の大部分が宇宙空間に流出してしまったと考えられています。

放射線で地表が汚染される

恒星風は強力な放射線も放っているので、恒星近くの天体は放射線で地表が汚染されてしまいます。

暑すぎない&寒すぎないハビタブルゾーンにある天体でも、放射線で地表が汚染されてしまうと生命には厳しい環境になってしまいます。

パラバース博士

「プロキシマ・ケンタウリb」はハビタブルゾーンにある系外惑星ですが、恒星風によって地表が汚染されている可能性があります。

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生命が恒星風の脅威から逃れる方法

ここまで、恒星風は生命にとって非常に恐ろしい事が分かったと思います。

しかし、一定の条件を満たすと恒星風の脅威から逃れる事も可能です。

パラバース博士

ここでは、惑星or衛星に住む生命が恒星風の脅威から逃れる方法をご紹介します。

恒星から一定の距離がある

距離が離れるほど恒星風の威力が弱まるので、恒星から距離が離れた天体ほど恒星風の脅威が少なくなります。

実際、地球は太陽から約1億5,000万kmも離れているので、恒星風(太陽風)はかなり減力しています。

ただ、恒星から離れすぎると熱エネルギーの恩恵が少なくなるので、恒星から離れていてば良い訳ではありません。

パラバース博士

太陽系のハビタブルゾーンは、太陽からかなり離れた位置にあるので、恒星風(太陽風)の脅威が少ないのです。

磁気圏がある

天体に磁場(磁力)があると磁気圏によるバリアーが形成されます。

恒星風は磁気圏を通り越す事ができないので、恒星風の脅威から守ってくれるのです。

しかし、ある程度強い磁気圏がないと恒星風を防ぐ事ができません。

実際、火星の磁気圏は地球より弱く、それが原因で水や大気が宇宙空間に流出してしまった可能性もあるのです。

パラバース博士

地球の磁気圏は強力なので、恒星風(太陽風)の脅威から人類を守っているのです。

改めて、地球って恵まれた環境と言う事が分かります!

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トワイライトゾーン

恒星から潮汐ロックされている惑星は、日光がギリギリ当たらないトワイライトゾーンが存在します。

トワイライトゾーンは、恒星に背を向けているので恒星風の脅威が少なめです。

また、完全な日陰ではなく、多少は熱エネルギーの恩恵もあるので生命にとって快適な環境になっているかもしれません。

パラバース博士

赤色矮星系の惑星である「ケプラー1649c」は、トワイライトゾーンに生命が存在する可能性があります。

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まとめ

恒星風って、地球の風とは全然違いますね。

パラバース博士

確かに、恒星より小さな地球に住む人間からするとそう思いますよね。

パラバース博士

ただ、宇宙はとてつもなく広いので、宇宙規模で見ると恒星風は「そよ風」程度かもしれません。

めちゃくちゃ視野を広くするとそうかもしれませんね…

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