「月」は地球から最も近くにある天体で、人間にとって最も身近な天体でもあります。
しかし、身近と言っても月の詳細を詳しく知る人は少ないはず。
月は我々人類にとって欠かせない存在であり、
もし月が存在しないと人類は滅亡してしまう可能性もあるほど。
身近だけど詳しくは知らない「月」とはどんな天体なのか?
今回は、月の特徴を詳しく解説します。
月ってどんな衛星?
英語名 | Moon(ムーン) |
明るさ | −12.7等級 |
地球からの距離 | 約38万4,400 km |
直径 | 約3,474 km |
質量 | 7.36 × 1022 kg (地球の約0.0123倍) |
密度 | 3.34 g/cm³ |
重力 | 1.622 m/s2 (地球の約17%) |
脱出速度 | 秒速 2.378 km/s |
自転周期 | 27日7時間43.193分 |
公転周期 | 27日7時間43.193分 |
赤道傾斜角 | 6.688度 |
表面温度 | 昼 110 ℃ 夜 −170 ℃ |
大気の量 | ほぼ皆無 |
月は地球の周りを公転する衛星であり、地球唯一の自然衛星です。
地球からの距離は約38万4,400 kmと、地球から最も近くにある天体です。
(2番目に近い金星は地球から約4,140万km)
1969年にはアポロ11号が月面の着陸を成功させ、人類が足を踏み入れる事に成功しました。
2023年現在も、月は唯一人類が訪れた事のある地球外天体です。
月は探査機によって何度も調査されているので、地球外天体の中では最も詳細が明らかになっています。
自転周期&公転周期
- 月の自転周期は「約27日」
- 月の公転周期は「約27日」
↑ご覧の様に月は自転周期と公転周期が全く同じです。
これは、地球の引力によって月は潮汐ロック(自転と公転の同期)されているからです。
潮汐ロックをされた天体は、常に主星に同じ面を向けて公転するので、地球から月は表面しか見れず、裏側を見る事ができません。
潮汐ロックされている衛星は、太陽系で数多く存在します。
大きさ&質量
月の直径は約3,474 kmもあり、太陽系内の衛星では6番目の大きさを誇ります。
その大きさから、月は「巨大衛星」と呼ばれる時もあります。
地球の直径は約12,742 kmなので地球との直径比率は約4分の1もあり、これほど直径比率が近い衛星は他に例がありません。
惑星と大きな衛星の直径比率
- 「ガニメデ」と木星との直径比率は約27分の1
- 「タイタン」と土星との直径比率は約23分の1
- 「トリトン」と海王星との直径比率は約18分の1
月の質量(重さ)
月の質量は約7.36 × 1022 kgで、漢数字で表すと約7,346京トンになります。
地球の質量が約59垓7.000京トンなので、月は大きさの割に質量が低い事が分かります。
ここまで質量に差があると、地球はズッシリ思い惑星って感じがします。
確かに、地球は太陽系の中で最も密度が高い惑星ですからね。
明るさ&等級
月の見かけの明るさは−12.7等級で、太陽(−26.7等級)の次に明るく見える天体です。
月が出ない新月の夜と比べて「満月」の夜は100倍明るい夜空になります。
ただ、月の明るさは都会に住んでいる人にはよく分からないと思います。
確かに、照明だらけの東京に住んでいると「満月の夜は明るい」って思わないです。
ちなみに、月が夜空で光って見える理由は太陽光を反射しているからで、月は自ら光り輝く天体ではありません。
大気&成分
月には大気が存在しますが非常に希薄で、大気の密度は地球の100兆分の1程度しかありません。
僅かにある大気の内訳は以下の通り。
月に存在する大気
- ヘリウム
- ネオン
- アルゴン
- 水蒸気
月に存在する大気のほとんどは、太陽から放出される太陽風由来です。
水蒸気だけは極地域に存在する水の氷由来である可能性が高いです。
月には水の氷が存在するんですか?
極地域に日光が当たらない永久影が存在し、そこに水の氷があると考えられています。
表面温度
赤道付近の平均表面温度
- 昼は約110度
- 夜は約−170度
↑温度差は約280度
また、昼と夜関係なく日光が当たる場所は100度以上となり、日光が当たらない場所は−100度以下になっています。
なぜこれほど寒暖差が激しいのでしょうか?
それは、大気&水蒸気がほとんど存在しないからです。
大気&水蒸気の役割
大気&水蒸気があると直射日光の熱を和らげる役割があると共に、温室効果によって温められた熱を逃さない作用があります。
地球の様に大気&水蒸気が沢山ある天体は、昼夜で寒暖差が少なく、快適な環境になっているのです。
しかし、月には大気がほとんど無いため、昼は日光の熱をダイレクトに受けて灼熱となり、夜は温室効果が無いので冷込みやすく極寒の環境になってしまうのです。
地球が夜になっても暖かい理由は「大気&水蒸気」のおかげだったんですね?
その通り!大気&水蒸気が生命にとってどれほど大切なのかが分かります。
地表の様子
月は地質活動をほぼ終えているので、火山や地震と言った現象がほとんど発生しません。
また、大気や水がほとんど無いため風化作用がほとんど進まず、地形が大きく変化する事もありません。
月の表側は、数十億年前に発生していた地質活動の名残である「月の海」が広がっていて、裏側は海が少なく、クレーターの多い大地が広がっています。
月の海とは?
月面の黒い平原部分を「月の海」と呼びます。
月の海は、今から約40億年前、隕石が衝突してできたクレーターの窪みから溶岩が噴き出して形成されたと考えられています。
「海」の名が付きますが、液体の水は存在しません。
日本では、黒っぽく見える月の海の地域は「ウサギがお餅をついている」と言われます。
月のうさぎの模様は、火山&隕石で形成されたんですね。
内部構造
月の地質活動は終えていますが、中心近くの核(コア)は溶けた金属で構成されていると考えられています。
内核が半径約240kmほど、外核は半径約330kmとされています。
ただ、月の内部構造は全て推測であり、詳しい事はほとんど分かっていません。
月の起源・形成された説とは?
月はどうやってできたのでしょうか?
月の起源はいくつか説があるので、この項目でご紹介します。
ジャイアントインパクト説
ジャイアントインパクト説とは?
太古の昔、火星サイズの巨大な天体が地球に衝突。
天体の衝突によって飛び散った破片や残骸が月を形成した説です。
ジャイアントインパクト説が正しければ、月の謎を解決へと導く裏付けにもなるので最も有力な説と言われています。
複数衝突説
複数衝突説とは?
太古の昔、小天体が地球に20回以上衝突を繰り返して月が形成された説です。
衝突した天体の質量は、地球の100分の1程度だったと思われます。
天体が衝突している点はジャイアントインパクト説に似ていますが、小さな天体が繰り返し衝突している点が違います。
「複数衝突説」も、月が形成された有力な説と言われます。
月は他の天体の衝突によって形成された可能性が高いんですね。
その他の説
根拠の低い説として「親子説」「兄弟説」「他人説」などもあります。
親子説(分裂説)とは?
地球が形成された直後の時代、地球の自転の遠心力で大地の一部が宇宙に放出され、放出された大地が天体となり月ができた説です。
近年まで有力な説とされていましたが、過去を遡っても地球は大地を引き剥がすほど高速で自転していない事が分分かったので否定的に説になりました。
兄弟説(双子集積説)とは?
同じ材料物質で地球と月がほぼ同時に形成された説です。
他人説(捕獲説)とは?
全く別の場所で形成された天体が地球の近くを通りがかった際、地球の引力によって天体が捕まり衛星となった説です。
月が無くなると地球はどうなる?
月はあまりに身近すぎて「そこにあるだけ」と思ってしまいますが、地球にとって本当に大切なパートナーでもあるのです。
実際、月が無くなると地球の環境が変化して、最悪人類は滅亡してしまう可能性もあるほど。
人類が滅亡って…どう言う事でしょうか?
では、月が無くなると地球はどうなってしまうのか?詳しく解説します。
1日が約8時間になる
地球の自転周期(1日)は24時間ですが、地球の自転周期は月の引力によって保たれています。
もし、月が無くなると月の引力も無くなるので、地球の自転速度が今より大幅に早くなります。
自転速度が速くなると、地球の自転周期(1日)は約8時間になってしまうと言われます。
1日が8時間になっちゃうと、生活リズムが崩れそうですね。
生活リズムどころでは済まないほど深刻な事態を引き起こす可能性もあります。
暴風が吹き荒れ、高波が発生する
「風」の強さは天体の自転速度と比例し、天体の自転速度が速いほど強い風が吹きやすくなります。
もし、月が存在せず地球の自転周期が8時間になってしまうと、猛烈な風が吹き荒れ、その強さは風速85m/s (時速約306km)に及ぶと考えられています。
さらに、猛烈な風の影響で、海岸付近は超高波に襲われる状態になってしまいます。
風速85m/s (時速約306km)とは?
- 風速40m/s・トラックが倒れる事がある
- 風速50m/s・多くの木造家屋が壊れる
- 風速60m/s・鉄塔が曲がる事がある
↑風速85m/sの風が発生するとどうなるのか?
もはやデータがありませんでした。
おそらく、風速85m/s (時速約306km)は殺人レベルの風と言えるでしょう。
もはや外に出れませんね…
気温が急激に変化する
地球の地軸(赤道傾斜角)は23.45度傾いていますが、地軸の傾きは1,000万年前からほとんど変化していません。
これは、月が地球の地軸を安定させているからであって、もし月が無くなると地球の地軸は不安定なってしまいます。
もし、地球の地軸が大きく傾くと、日光の当たる角度や日照時間が変わってしまい、短期間で気温が急激に変化してしまう可能性があるのです。
地球に衝突する隕石が多くなる
地球に接近する一部の隕石は、月に引き寄せられ月面に落下しています。
つまり、月は隕石の脅威から守ってくれる「地球の盾」の様な存在でもあるのです。
もし、月が無ければ地球に接近する全ての隕石が地球に衝突してしまうので、隕石の脅威が高くなってしまいます。
隕石の衝突は生命にとって脅威であり、巨大な隕石が地球に落ちると甚大な被害を及ぼします。
過去を遡ると、地球に甚大な被害を及ぼす隕石も、月が存在する事で衝突を回避できた例があるかもしれません。
大量絶滅を引き起こす
- 1日のサイクルの変化
- 暴風&高波が発生
- 気温の急激な変化
- 隕石の衝突リスクの増加
↑全て生命にとって脅威となります。
環境の急激な変化は大量絶滅の引き金となり、人間も無関係な話ではありません。
なぜなら、人間は動植物の恩恵を受けているので、生物の多様性が崩壊すると人間も大きな被害を被るからです。
動植物が大量絶滅する事で、人間も絶滅してしまう可能性があるのです。
どんな文明が発達しても、自然の脅威には無力ですよね…
まとめ
月は身近な存在すぎて、多くの人が「そこにある物」としか思っていないかもしれません。
しかし、月は人間の暮らし&文明を密かに守っている事実があるのです。
もしかしたら、私たち人類も月が存在していたから誕生した可能性だってあります。
単なる豆知識や雑学だけでなく、月は地球&人間にとって大切なパートナーである事を覚えてほしいです。
確かに!人類にとって「月」は大切な存在なんだって事が分かりました。
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