オルバースのパラドックスの最新版はこちら
今回は「オルバースのパラドックス」を紹介します。
「宇宙はなぜ暗いのか?」過去、多くの学者がこの問いに悩まされてきました。
宇宙には無数に星が存在しますが、夜空は暗く見えます。
星が無数にあるなら、夜空は昼間のように明るく輝いてもおかしくないように思えますが、なぜなのでしょうか?
この記事では、オルバースのパラドックスの概要と歴史、その答えまで解説します。
オルバースのパラドックスとは?
宇宙に星が限りなく存在するのであれば、夜空は満遍なく明るく輝いているはず。
にも関わらず夜空が暗いのはなぜなのか?
このパラドックスの名前は、18~19世紀のドイツの天文学者であるヴィルヘルム・オルバースに由来しています。
ですが、オルバースが最初に提起したわけではありません。
このパラドックスを解明しようとしてきた歴史の中で、その学者の一人であるオルバースの名前が付けられました。
オルバースのパラドックスの歴史
宇宙に無数に星があっても、遠すぎる星は光が弱くなるから明るくならないのではないのですか?
昔はそう考えられていました。ですが、この考え方では説明がつかないところがあると指摘した人物が現れたのです。
シェゾーの考察
スイスの天文学者であるジャン・フィリップ・ロワ・ド・シェゾーは、宇宙に存在する星がどのように見えるのかを考察しました。
あるものが視野の中に占める見かけの面積は、遠ざかるほど小さくなります。
具体的には、距離が倍になれば、見かけの面積は1/4です。
そして、その明るさも1/4になります。
電球を至近距離で見ると目を開いていられないほど明るいけれど、遠ざかると見られるようになるのと同じ原理です。
地球から100光年の距離にある星が200光年の位置に遠ざかれば、見かけの面積と明るさは1/4になります。
一方、距離100光年の位置にある星の数と200光年のところにある星の数を比べると、200光年のところにある星のほうが4倍の星を含んでいます。
となると、地球からの距離が2倍になれば星の数は4倍、明るさは1/4になるので結局宇宙を見上げた時の全体の明るさは同じになるはずだということです。
以上より、シェゾーの結論は「星が無限に存在するのであれば、夜空に暗い場所は生まれないはずだ。宇宙が暗いのには、何か別の理由がある。」というものでした。
また、シェゾーはこの理論に基づくと宇宙は「太陽の9万倍の明るさになる」という計算結果も出しています。
オルバースの考察
1823年、ヴィルヘルム・オルバースはシェゾーに続けて、宇宙が暗いのは遠い距離の星が見えないせいではなく、このパラドックスの解決にはならないことを指摘しました。
そして、オルバースは「宇宙空間に存在する不透明な物質が光を吸収しているために光が届かず、宇宙は暗く見えるのではないか」という仮説を立てました。
宇宙にはガスや細かい塵があることが現在では知られており、こういった物質を星間物質といいます。
星間物質は確かに光を遮ることが分かっていますが、すべての光を遮っているとしたら星間物質自体が光で熱せられて数千度にまでなり、恒星と同じほどの明るさで輝くことになるといいます。
そのため宇宙が暗いことの説明にならないどころか、星間物質が光を吸収することによって宇宙は限りなく明るいはずだということになるのです。
よって、このオルバースの仮説も否定されました。
オルバースのパラドックスの解決
このパラドックスは、宇宙の誕生からの時間と、光の速度が鍵を握っていました。
宇宙は今から約138億年前に誕生したことが分かっています。
宇宙に星が無数にあるとしても、138億年という宇宙の歴史を考えると私たちが観測できる星は限られます。
①地球から138億光年よりも遠い距離にある恒星の光は、現在の地球にまだ届いていないので観測できません。
②また、誕生したばかりの恒星の光も、現在の地球に届いていないので観測できません。
宇宙に星が無数にあり、星が次々に誕生しても、光の速度の関係で私たちの観測できる範囲は限られているので、宇宙は明るく見えないということなのです。
現在の見積もりでは、いまの宇宙の年齢の10兆倍の時間を経なければ、宇宙が光に満たされないとされているそうです。
宇宙の大きさはまだ分かっていませんが、あらゆる観測結果から、観測可能な138億光年よりは大きいことが分かっています。
まとめ
多くの学者を悩ませてきたパラドックス。
最終的に導き出された答えは、「遠い星や、誕生したばかりの星の光は届いていないから」といったものでした。
子の宇宙では、私たちの観測できる、知れる範囲がどれだけ狭いものなのかを思い知らされますね。
そうですね。ですがそれは言い換えれば、私たちの知らない宇宙がまだまだ広がっているということです。
オルバースのパラドックスの最新版はこちら
コメント