今回は「海洋惑星」と呼ばれる、未発見の天体をご紹介します。
地球も水の惑星と呼ばれますが、海洋惑星と地球は全く異なる天体なのです。
では、海洋惑星はどんな特徴があるのか?
生命はいるのか?
今回は、海洋惑星の特徴を詳しく解説します。
海洋惑星とは?特徴を解説
その名の通り、天体全体が海に覆われていて陸地が存在しない惑星を指します。
海洋惑星の海の深さは数百kmに達するので、地球の海洋と規模が異なります。
(地球の海洋の深さは平均3.7km)
「地球」との違い
地球って水の惑星って言われますけど、海洋惑星ではないんですね?
地球とは全く異なるので、地球と海洋惑星の違いをまとめてみました。
地球の特徴まとめ
- 海洋の質量は惑星全体の約0.05%
- 大陸が存在する
- 一定の大気が存在する
海洋惑星の特徴まとめ
- 海洋の比率が惑星全体の20〜50%以上
- 大陸は存在しない
- 一定の大気が存在する
海洋惑星は、海洋の規模と比率が桁違いに大きいのです。
なんか、海洋惑星の方が「水の惑星」って感じがしますね。
海底の水は常温で凍る?
海洋惑星の海底は高圧の影響で水の凝固点(氷になる温度)が高くなります。
そのため、海底部分の水は常温で凝固している「高圧相氷」となっている可能性があるのです。
高温でも液体の海がある?
恒星からある程度離れていないと海洋(水)は蒸発してしまいますが、恒星の近くを公転する海洋惑星も存在すると考えられています。
恒星に近い高温の海洋惑星は、高温&高圧力によって水が「超臨界流体」になっていると思われます。
そうなると、ガス惑星の様に明確な「表面」が存在しない可能性があります。
超臨界流体とは
水が臨界点を超える高温&高圧力を受けると、液体と気体の区別が付かない「超臨界流体」になります。
「超臨界流体」状態の水は、液体&気体どちらの要素も併せ持ちます。
例えるなら「水蒸気惑星」と言った感じでしょうか?
新しい惑星の区分がまた出来ましたね!
現状、未発見の惑星
海洋惑星は太陽系、太陽系外惑星にも存在しないので、仮説上の天体です。
しかし、海洋惑星はありふれた天体で、多くの恒星系に存在すると考えられています。
「水」って貴重だと思いましたけど、そんな事ないんですね?
水(H2O)は構造が単純なので、宇宙には沢山存在するんです。
海洋惑星に生命はいる?
海洋惑星に生命はいるんですか?
そこは一番気になる点ですよね。
実は、海洋惑星には生命が誕生しずらいと言われます。
「浅い海」は生命が誕生しやすい
生命誕生に「有機物」は必須
まず、地球規模の惑星は海が浅いため水圧も低めです。
水圧が低いと地面に含まれる有機物が溶けやすく、有機物を含んだ海洋が形成されます。
生命に必須な有機物が海洋に溶けていれば、生命が誕生する機会があるのです。
地球は水深が浅いおかげで、生命が誕生したと言えるでしょう。
水が多すぎない事はメリットになるんですね?
「深い海」は生命が誕生しずらい
海洋惑星は海がとても深く、海底に強い圧力がかかるので、有機化合物が海に溶けづらくなってしまいます。
海洋に有機化合物が含まれていないと、生命が誕生する可能性は無いと考えられています。
結果、海洋惑星は生命が誕生しずらいのです。
生命は有機化合物を元に誕生するので、水だけあっても意味がないのです。
では、海洋惑星に生命は存在しないのですか?
いえ、ある条件を満たせば海洋惑星にも生命が誕生すると言われます。
隕石が有機物を運んでくれる?
海洋惑星に有機化合物を含んだ隕石が落ちれば、有機化合物を含んだ海洋が形成されます。
そうなれば、海洋惑星にも生命が誕生する機会はあるのです。
海洋惑星は「怖い」って本当?
↑検索順位であったので軽く解説します。
結論、海洋惑星は怖い惑星ではないと思っています。
地球とは比べ物にならないほど深い海があるので「イメージの怖さ」はあるかもしれません。
しかし、他の天体と比べても、特別「怖い」と思う箇所は見つかりませんでした。
むしろ、一面が海洋なので、怖いではなく「美しい天体」かもしれません。
海洋惑星ができるまで
海洋惑星は「惑星の移動」によって誕生すると言われています。
「惑星の移動」とは?
海洋惑星になる天体は、水の氷で覆われている必要があります。
氷で覆われた惑星は恒星から離れた寒いエリアに存在しますが、水が凍った状態だと海洋惑星とは言えません。
しかし、何らかの要因で、惑星が暖かいエリア(ハビタブルゾーン)に移動すると、氷が溶けて海洋惑星になる可能性があるのです。
惑星が移動する事なんてあるんですか?
恒星系における「惑星の移動」は珍しい事ではないと言われています。
ただ、惑星の移動が発生する要因は詳しく分かっていません。
海洋を維持できる3つの条件
実は、水が存在するだけでは広大な海は維持できません。
ここでは、海洋惑星が維持できる3つの条件をご紹介します。
十分な重力がある
ある程度の重力がないと水を引き止める力がなくなり、海洋は宇宙空間に放出されてしまいます。
重力は惑星の直径&質量と比例するので、ある程度直径&質量がないと海洋惑星になりません。
一定の大気がある
大気圧は水の蒸発を防ぐ「フタ」の役割を果たします。
そのため、惑星内に一定の大気が存在しないと海洋は維持できないのです。
磁気圏がある
磁気圏が存在しないと、恒星風(太陽風)の影響で、海洋が宇宙空間に放出されてしまいます。
そのため、海洋を維持するには磁気圏も必要なのです。
条件が1つでも欠けると、海洋を維持できない可能性が高いと思って下さい。
海洋惑星は色々な条件が重なって形成されているんですね。
海洋惑星の候補
現状海洋惑星は未発見ですが、海洋惑星の候補となる天体をご紹介します。
GJ 1214 b
GJ 1214 bは海洋惑星である可能性が最も高い天体です。
表面温度は120-282 ℃と高めですが、十分な大気圧があれば海洋を維持できます。
岩石が約25%、海洋が約75%で構成されていると考えられています。
グリーゼ581d
グリーゼ581dは、地球から20光年離れた位置に存在する太陽系外惑星です。
十分な大気圧と水が存在する可能性があるので、海洋惑星の候補の1つです。
まとめ
現状、海洋惑星は未発見ですが、今後の調査で海洋惑星が発見される可能性は十分あります。
太陽系外惑星は毎年数多く発見されているので、今後の調査に期待しましょう。
ぜひ、海洋惑星に生命も発見されてほしいです!
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