宇宙食とは、その名の通り宇宙で食事をするために作られた食品です。
宇宙食の歴史は長く、宇宙開発競争と共に進化を続けてきました。
「宇宙食=不味い」イメージを持つ人もいますが、それは過去の話であり今は美味しい宇宙食が沢山あるのです。
では、宇宙食はどんな種類があり、どんな進化を遂げてきたのか?
今回は、宇宙を語る上で外せない宇宙食の特徴と歴史について詳しく解説します。
宇宙食と普通食の違いとは?
宇宙食は宇宙船の内部で食事をすること前提で作られているので、通常の食事と比べて特殊な作りとなっています。
私たちが地上で食べる食事と具体的に何が違うのか?
ここでは、宇宙食が満たすべき7つ条件と通常食との違いを解説します。
栄養価が高いこと
宇宙空間における食事は宇宙食に限られるので、少量で栄養価が高い食事にする必要があります。
特に、宇宙船への長期滞在は骨粗鬆症のリスクが上がるので、栄養価の高さは特に重要なポイントと言えます。
保存性が高いこと
宇宙船内では地上からの物資の運搬を頻繁に行うことが出来ないので、保存性の高さも重要になります。
軽量、小型であること
宇宙船内に積載する物資の大きさ&重量は限られているため、宇宙食は出来るだけコンパクトで軽量であることが求められます。
衝撃に強いこと
宇宙船内発射時の衝撃で強いG (重力)がかかる時があります。
そのため、宇宙食は強いG (重力)を受けても形を崩さずに作る必要があるのです。
即席である事
宇宙船内のスペースが限られているため、複雑な調理は出来ません。
そのため、調理に手間のかからない食事にする必要があるのです。
匂いが少ないこと
宇宙空間では換気をする事が出来ないので、強い匂いを発する料理は避ける必要があります。
飛散しない
無重力状態の宇宙船内では、食べ物が飛散すると宙に浮いたままになってしまいます。
飛散した食料は精密機械の故障の原因になる可能性があるため、飛散しずらい食事にする必要があります。
これらを全てクリアしないと宇宙食として採用できません。
宇宙食の歴史!始まりと進化
宇宙食っていつから存在するんですか?
ではここで、宇宙食の歴史をご紹介します。
ヴォストーク2号(1961年~)
1961年に打ち上げたソ連の有人宇宙船ボストーク2号に搭乗したゲルマン・チトフは、宇宙船内で人類史上初の宇宙空間での食事を行いました。
マーキュリー時代(1962年~)
宇宙開発が活発になると、アメリカは本格的に宇宙食の開発に乗り出しました。
60年代の宇宙食は、無重力状態で食事すると喉に詰まってしまう懸念があったため、ペースト状&ゼリー状でした。
無重力状態でも食べ物を呑み込める事が分かると、一口サイズの固形食が誕生します。
しかし、栄養価、軽量化を重点的においていたため、賞味の観点は二の次でした。
当時の宇宙食は宇宙飛行士からの評判も悪く「宇宙食=不味い」のイメージだったと思います。
マーキュリー時代の宇宙食は、生命維持のための存在だったのでしょう。
食事と言うより、人間の燃料みたいな感じかしら?
ジェミニ時代(1965年〜)
ジェミニ時代になると、宇宙への滞在期間も長くなり、長期間宇宙食での生活を余儀なくされる事になります。
長期間の宇宙食に不満を持った宇宙飛行士ジョン・ヤングは、許可無く宇宙船内にサンドイッチを持ち込みます。
宇宙船内の機材の破損や汚染の恐れのある食事の持ち込みは大きな問題となりましたが「宇宙食の質は宇宙飛行士の士気に影響する」事が認められ、以降宇宙食の開発が活発になります。
アポロ時代(1965年〜)
アポロ時代の宇宙食は宇宙船内でお湯が使用可能になります。
これによって、食品をお湯で戻して暖かい食事が可能になりました。
スカイラブ時代 (1973年〜)
スカイラブ時代になると冷蔵庫と冷凍庫が搭載され、食材が腐る心配がなくなります。
スペースシャトル時代(1981年〜)
スペースシャトルの時代になると、新鮮食品も提供されるようになり、地上での食事とほとんど変わらないまでに進化しました。
各国の宇宙開発機関が宇宙食も持ち込み可能になり、宇宙食もバリエーションも豊富になりました。
日本の宇宙食
日本料理の宇宙食も沢山開発されています。
宇宙日本食
- きんぴらごぼう
- リポビタン JELLY FOR SPACE.
- 北海道産牛肉とミニトマトのハンバーグ
- 名古屋コーチン味噌煮
- 日清スペースチキンラーメン
- スペース日清焼そばU.F.O.
- スペースからあげクン
すごい!全部宇宙食なんて信じられない!
宇宙食はどこで買える?
あの、宇宙食を食べてみたいんですけど。
宇宙食は簡単に手に入れる事が出来ます。
宇宙食を購入する方法
宇宙食を陳列している店舗はいつくか存在し、東京浜松町にある「宇宙の店」は有名です。
また、楽天やAmazonで「宇宙食」と検索すると、沢山商品が出てきます。
ネットで購入できるんですね!ちょっと見てみます。
なぜ宇宙食の開発にお金をかけるのか?
現在、宇宙食の需要はごく僅か
宇宙食は宇宙へ旅立つ限られた宇宙飛行士のために存在します。
そのため、地球規模で考えると、宇宙食は需要はごく僅かなのです。
しかし、宇宙食は全世界の宇宙機関が熱心に研究開発していて、莫大な国家予算が投じられています。
需要が少ないのに、全世界が宇宙食を研究開発しているのはなぜ?
それは、将来的に宇宙食の需要が大きくなる事が分かっているからです。
夢の宇宙旅行
かつては夢物語だった宇宙旅行
実は、宇宙旅行はいよいよ現実味を帯びているのです。
少数ですが、宇宙開発を目的としてない民間人も宇宙旅行へと旅立っています。
ZOZOTOWNの社長前澤友作氏が、月旅行を計画しているニュースは記憶の新しいところ。
旅行代金が数十億円規模と、まだ一般市民には手が出ませんが、将来的には安価で安全な宇宙旅行は実現しそうです。
宇宙旅行が一般的ななれば、宇宙開発事業にかかわっている、国家や会社は大きなビジネスチャンスとなります。
もちろん宇宙食も例外ではありません。
贅沢な旅行であるがゆえに、宇宙食の「美味しさ」も重要なポイントになるのです。
確かに!旅先のご飯は大事ですよね。
戦場食としての利用
- 第一の戦場は「陸」
- 第二の戦場は「海」
- 第三の戦場は「空」
そして第四の戦場は「宇宙」です。
宇宙戦争もかつては映画や小説の中での話でしたが、残念ながらこちらも現実味を帯びてます。
実際に、アメリカを初めとする先進国は、軍事偵察衛星を利用していて、宇宙はすでに軍事的に利用されているのです。
そして将来的に、地球外の資源や土地を巡る宇宙戦争が起きる可能性だってあります。
その時、軍隊に必要な食料は宇宙食となり、保存性や栄養価は重要な課題となります。
限られたスペース&単調な生活で士気の低下も懸念される中、食事は数少ない娯楽になるのです。
宇宙戦争を視野に入れると、宇宙食の賞味は重要な課題となるのです。
宇宙食の課題
宇宙食で成し遂げられていない大きな課題は、自給自足で宇宙食を手に入れる事です。
現在の宇宙食は、地上で調理されて運搬しているため、搭載する食料も多くなりコストがかさんでしまいます。
これらの課題を克服するためには、宇宙船内で食料を自給自足をする必要があるのです。
宇宙船内で食料の自給自足が可能となれば、搭載する荷物も少なくてすみ、食料が腐る事もありません。
もし、不測の事態がおきて地球からの物資の運搬が不可能となっても、食料の心配もなくなります。
宇宙食の自給自足は未達成ですが、水耕栽培などの研究がされています。
近い将来、宇宙空間での食料の確保が可能となるかもしれません。
まとめ
宇宙旅行とか、宇宙戦争とか、宇宙食が進化していく過程には、色々な思惑があるんですね。
その通り!そして、食事は美味しいに越した事は無いので、宇宙食は日々進化を遂げているのです。
今はおいしい宇宙食、気になった方はぜひご賞味あれです。
コメント