今回ご紹介するK2-18b(ケーツー、エイティーンビー)は、生命がいるかもしれない系外惑星の1つです。
なぜ生命の存在が期待されるのか?
それは、主星(恒星)から近すぎない&遠すぎないハビタブルゾーンにある惑星から初めて水蒸気(水)が発見されたからです。
さらに、生命存在の根拠となる成分が存在している可能性もあります。
そんな生命発見の期待がかかる系外惑星「K2-18b」どんな惑星なのか?
今回は、色々と注目度の高いK2-18bをご紹介します。
系外惑星「K2-18b」とは?
K2-18b | 地球 | |
直径 | 約34,582 km (地球の約2.71倍) | 約12,742 km |
質量 | 地球の約8.63倍 | 約59垓7,000京トン |
重力 | 地球の約1.7倍 | 9.80 m/s² |
自転周期 | 不明 | 24時間 |
公転周期 | 33〜40日 | 365日 |
主星までの距離 | 約2,100万 km | 約1億4,960万 km |
K2-18bは2015年に発見され、地球から獅子座の方向、約124光年離れた位置に存在します。
読み方はそのまま「ケーツー、エイティーンビー」
数字を日本語読みした「ケーニ、イチハチビー」とも
主星の前を通過した際、主星のわずかな減光で観測する「トランジット法」で発見されました。
直径&質量
K2-18bの推定される直径は約34,582 km
質量(重さ)は505垓2,110京トンで地球の約8.63倍もあります。
なるほど、地球と比べるとかなり大きいですね。
直径&質量の大きさから、K2-18bはスーパーアースと言われる事もあります。
スーパーアースとは?
地球の数倍以上の直径&質量がある岩石惑星の事を、スーパーアースと呼んでいます。
大きさは地球と海王星の中間ぐらいです。
直径&質量が大きいと重力も強くなるので、地球サイズの惑星より大気の量が多く、地表は強い圧力がかかってるかもしれません。
ハビタブルゾーンの中にある
K2-18bは地球と同じハビタブルゾーンに位置しています。
ハビタブルゾーンとは、主星(恒星)から近すぎない&遠すぎないちょうど良い領域を指します。
ハビタブルゾーンの惑星は、液体の水が安定的に維持できる可能性が高く、地表に海や湖を形成しているかもしれません。
地球と気温が近く、液体の水があれば人類の移住先の候補にもなります。
表面温度&地表の様子
K2-18bの地表の温度は約-1℃と考えられています。
-1℃!ちょっと寒いけど、防寒すれば人間も生きていけますね。
さらに、水&大気があればもっと温暖な環境になるはずです。
地球を含めた、惑星に存在する水&大気は温室効果があり、恒星から受けた熱エネルギーの放出を防いでくれます。
もし、K2-18bの地表に水&大気が潤沢に存在すれば、地球同等、それ以上の気温になっているかもしれないのです。
主星「K2-18」の特徴
K2-18 | 太陽 | |
恒星の区分 | 赤色矮性 | G型主系列星 |
表面温度 | 約3,180℃ | 約5,800℃ |
直径 | 太陽の約41% | 約139万2,000 km |
質量 | 太陽の約36% | 1 |
自転周期 | 約40日 | 25〜35日 |
光度 | 太陽の約0.027倍 | 1 |
可視光線の量 | − | 1 |
K2-18bの太陽である「K2-18」は太陽より規模の小さな恒星で、赤色矮星に分類されます。
大きさ、重さ(質量)は太陽の半分にも満たないですね。
赤色矮星(せきしょくわいせい)とは
恒星の中で最も直径が小さく、低温の恒星の事を赤色矮星と呼びます。
銀河系に存在する恒星の約75%は赤色矮性と考えられているので、K2-18はごく一般的な恒星と思って下さい。
ちなみに、G型主系列星に分類される太陽は銀河系の中で上位10%に入るほど巨大な恒星です。
以上の事から、K2-18が小さいのではなく、太陽が特別大きな恒星と言った見方もできるでしょう。
水と生命由来の成分が発見される!
K2-18bに生命はいるのでしょうか?
現状、K2-18bに生命がいるかどうかは不明です。
ただ、生命誕生に有利なポイントがいくつか発見されています。
水蒸気(水)を発見!
K2-18bはハビタブルゾーンを公転する系外惑星では、初めて水蒸気(水)を発見しました。
ハビタブルゾーンに位置する系外惑星はいくつか発見されていますが、水の存在を確かに確認された例は他にありません。
水は生命誕生に不可欠と考えられているので、K2-18bで水の存在が確認されたのは画期的と言えるのです。
もし、K2-18bに水が潤沢に存在すれば
- 水蒸気が雲を形成する
- 雲が雨や雪をもたらす
- 地表に海や湖が形成される
↑地球と同じ水循環が発生していて、海や湖に生命が存在する可能性もあるのです。
海や湖があれば、そこに生命がいるかもしれませんね。
生命由来の成分も発見か!?
2023年、地球上では生命由来の成分「ジメチルスルフィド(硫化ジメチル)」がK2-18bの大気中に存在する可能性があることを発表されました。
地球上におけるジメチルスルフィド(硫化ジメチル)は生命由来であり、生命が誕生しなければ存在しない成分とされています。
K2-18bに存在するジメチルスルフィド(硫化ジメチル)は、生命由来である可能性があるのです。
「ジメチルスルフィド」の臭いとは?
- 都市ガスの刺激臭
- 海の磯臭さ
- キャベツの青臭さ
上記は、全てジメチルスルフィド(硫化ジメチル)が原因です。
↑意外と身近な成分でした。
ただ、先ほどの水蒸気(水)と違ってジメチルスルフィドの存在は可能性でしかなく、はっきり存在するかどうか分かっていません。
K2-18bに生命はいるのか?
もしかしたら、K2-18bって生命存在の可能性が一番高い系外惑星ではないですか?
ここまで聞くとそう思ってしまいますが、K2-18bは生命にとって過酷な環境になっている可能性もあるのです。
高圧力&高温の世界?
K2-18bは地球より規模の大きな惑星が故に、地球より重力が強くなってると考えられます。
重力が強いと大気を沢山溜め込んでしまい、生命には不利な環境になってしまう可能性があるのです。
大気が沢山あるのって、生命にとって良い事ではないのですか?
大気は少なすぎても、多すぎてもNG
大気は生命誕生に必要不可欠ですが、大気が沢山あるほど地表の気圧は高くなります。
気圧が高くなると、身体大きな圧力(負荷)がかかり、健康を害してしまう可能性があるのです。
さらに、温室効果ガス(二酸化炭素など)が沢山あると、地表の温度が高くなってしまいます。
なるほど、大気って沢山あれば良い訳ではないんですね…
例として、金星は温室効果ガス(二酸化炭素)が沢山ある事で灼熱の環境になっています。
しかし「過酷」と言うのはあくまで地球の生命から見た都合にすぎません。
フレア&恒星風の脅威
K2-18bは主星(恒星)K2-18からの恒星風&フレアの脅威にさらされている可能性があります。
- フレア=爆発
- 恒星風=爆風
↑みたいな感じだと思って下さい。
恒星は表面で爆発が発生していて、その爆発の衝撃波&爆風は周囲の天体にも影響を及ぼします。
フレア&恒星風が惑星に直撃すると?
- 大気が剥ぎ取られる
- 水が宇宙空間に放出する
- 地表が放射線で汚染される
など
主星(恒星)から近いデメリット
フレア&恒星風(太陽風)は太陽でも発生していますが、太陽と地球は約1億5,000万kmも離れているので、フレア&恒星風(太陽風)の脅威は小さめです。
しかし、K2-18bは主星(恒星)のK2-18から約2,100万 kmしか離れていないので、フレア&恒星風(太陽風)の脅威が大きいのです。
フレア&恒星風の脅威によって、K2-18bは生命に厳しい環境になっているかもしれません。
潮汐ロックで灼熱&極寒になっている?
K2-18bは主星(K2-18)から潮汐ロックされていると考えられています。
潮汐ロックとは?
潮汐ロック(固定)とは?
公転する天体が主星の重力の影響を強く受ける事で、主星に対して常に同じ面を向けている状態を、潮汐ロック(潮汐固定)と呼びます。
潮汐ロックされている身近な例は、地球と月の関係があり、主星とその周りを公転する天体の距離が近いと発生する現象です。
潮汐ロックを受けている惑星は、片面が永遠の日向、片面が永遠の日陰になってしまいます。
そうなると、日向が灼熱、日陰が極寒の世界になっているかもしれないのです。
↑永遠の日向は灼熱の渇ききった砂漠、永遠の日陰は氷ついた大地が広がっているかも?
以上の事から、K2-18bは生命が育むには厳しい環境になっている可能性があります。
地球に似ていないかも?
そもそも、K2-18bはスーパーアースではなくミニネプチューンに分類される惑星かもしれません。
ミニネプチューンとは?
先述のスーパーアースよりも大きく、海王星型惑星よりも小さな惑星をミニネプチューンと呼びます。
直径&質量が大きすぎてガス惑星になっている可能性があります。
ガス惑星は岩石惑星と比べると、生命誕生の弊害になってしまう点がいくつかあります。
K2-18bに生命がいるかどうかは、スーパーアース(岩石惑星)である事前提で解説をしています。
もし、K2-18bがミニネプチューンだと、地球と環境が違いすぎて生命存在の可能性は低くなってしまうのです。
もし生命がいるとしたら?
水と生命由来の成分があっても、K2-18bに生命はいないのでしょうか?
生命の有無は分かりませんが、いたとしても地球上の生命とは大きく異なる形をしているかもしれません。
特殊な環境に適応した生命がいる?
K2-18bは大きさ&質量の関係で、高温&高圧力の世界になっているかもしれません。
しかし、高温&高圧力だからこそ誕生する生命もあるかもしれないのです。
地球上の生命からすると、高温&高圧力の環境は「過酷」になってしまいますが、K2-18b上の生命からするとそれが普通の環境になるのです。
高温&高圧力が「過酷」と思うのは、地球上に住んでいる生命から見た話です。
K2-18bの高温&高圧力な環境で生まれた生命がいたとします。
K2-18bの生命は高温&高圧力の環境が普通なので、もし地球に来たら低温&低気圧すぎて生きていけないかもしれないのです。
なるほど!「過酷&快適」と言うのは、特定の環境で適応している生命の都合でしかないって事ですね?
K2-18bに人類は移住できる?
K2-18bはハビタブルゾーンの惑星では唯一「水」が発見されているので、人類の移住先候補になるかもしれません。
長く住めなくても「水」があることで宇宙船の燃料、物資補給の中継地点として利用できる可能性もあります。
ただ、距離的な問題があるので、そもそも現代の技術で移住できる可能性は皆無です。
124光年の壁
1光年は約9兆4600億kmなので
9兆4600億×124=1,116兆km
つまり、地球からK2-18bは約152兆3,000億km1,116兆kmも離れているのです。
ここまで離れていると、光速を超える宇宙船や、ワープを駆使した移動手段がないと人類は移住できません。
もちろん、現代は光速を超える宇宙船はありませんし、ワープもありません。
果たして、K2-18bに移住できる日は来るのでしょうか💦
いつかK2-18bに移住できる日来るのか?その前に人類は滅びるのか?それは未来だけが知る事実と言えます。
まとめ
K2-18bは地球とは大きく異なる惑星ですが、生命がいる可能性は十分にあります。
しかし、もし生命がいたとしても地球で見かける生命とは大きく異なる姿をしているかもしれません。
もしかしたら、地球上の常識を覆す生命がいるかもしれないのです。
K2-18bはまだまだ分からない事が沢山あるので、今後の調査に期待しましょう。
ぜひ、K2-18bに生命が発見されてほしいです!
コメント
コメント一覧 (2件)
[…] K2-18b […]
[…] あわせて読みたい 海があるかも「K2-18b」に生命はいる?人類は移住できるか? 今回ご紹介するK2-18b(ケーツー、エイティーンビー)は、生命がいるかもしれない系外惑星の1つです […]