なぜ、人工衛星は地球に落ちてこないのか?
なぜ、スペースシャトルは地球の重力を振り切って宇宙に行けるのか?
なぜ、探査機ボイジャー1号は太陽圏を脱出できたのか?
それは「宇宙速度」を知る事で明らかになります。
宇宙速度とは一体何か?
今回は、宇宙速度の種類と詳細を詳しく解説します。
秒速・時速・マッハ(音速)で比べてみましょう。
宇宙速度とは?
簡単に言うと、天体の重力を振り切る最小の速度です。
物体は地球の重力の影響下にありますが、高速で飛行すると「運動軌道を変えるor重力を振り切る」事が可能です。
そして、運動軌道を変えるor重力を振り切る軌道速度が「宇宙速度」となるのです。
宇宙速度は地球以外の天体でも使用可能で、天体の重力の強さによって宇宙速度は異なります。
本記事は地球の宇宙速度で解説して行きます。
宇宙速度の一覧
一般的に、宇宙速度は3種類あります。
- 第一宇宙速度
- 第二宇宙速度
- 第三宇宙速度
↑それぞれの速さと特徴を詳しく解説します。
第一宇宙速度
第一宇宙速度は
- 秒速7.9km
- 時速28,400km
- マッハ約23.18
第一宇宙速度は地球の衛星になるために必要な最小速度です。
地球の重力をある程度振り切っているけど、完全に振り切っていない状態と言えます。
人工衛星が地表に落ちず地球を回っている理由は、第一宇宙速度に達しているためです。
秒速7.9km未満だと、どんな角度で打ち出しても物体は地表に着地してしまいます。
秒速7.9km (時速28,400km)はジャンボジェット機の約30倍の速さで、1時間半弱で地球を1周してしまいます。
ちなみに「マッハ1=時速約1,225km」なので、この時点でとてつもない速さである事が分かります。
第一宇宙速度の条件
秒速7.9km (時速28,400km)は、海抜0m、地面スレスレで物体を打ち出した際の軌道速度です。
人工衛星やロケットなど、地表から離れていると運動軌道を変える速度は変化します。
第二宇宙速度(地球脱出速度)
第二宇宙速度は
- 秒速11.2km
- 時速40,300km
- マッハ約32.89
第二宇宙速度は地球脱出速度とも言われ、地球の重力を振り切るために必要な最小速度です。
ロケットが地球の重力を完全に振り切って宇宙空間に到達できる理由は、第二宇宙速度に達しているからです。
スペースシャトルって、最低でも秒速11.2km (時速40,300km)のスピードが出ているんですか?
その通り!でないと、宇宙空間に行く事ができません。
第三宇宙速度(太陽系脱出速度)
第三宇宙速度は
- 秒速16.7km
- 時速60,100km
- マッハ約49.06
第三宇宙速度は太陽系脱出速度とも言われ、太陽の重力を振り切るために必要な最低速度です。
第三宇宙速度に達している例は、宇宙探査機ボイジャー1号&2号などがあります。
ボイジャー1号&2号は、いずれも時速6万km前後のスピードで太陽圏から離れていて、
2012年にボイジャー1号が太陽圏外に到達、2018年にはボイジャー2号が太陽圏外に到達した事が発表されました。
ボイジャー1号&2号は、いずれエッジワースカイパーベルトとオールトの雲を抜けて太陽系外に出ると思われます。
ただ、太陽系外に出るのは約5万6,000年後と、はるか未来の話になります。
その頃、人類はどうしているんですかね?
「太陽圏」と「太陽系」の違い
太陽圏とは太陽風が届く範囲までを示していて、太陽系は太陽の引力が届くまでの範囲を示しています。
太陽圏の距離は太陽から約177億km、太陽系の距離は太陽から約15兆1,400億kmも離れています。
第四宇宙速度はある?
宇宙速度の定義は「第三」までで、第四以降の宇宙速度は存在しません。
しかし、仮に第四宇宙速度を設定するならば、銀河系の重力から振り切るための最小の速度になると思います。
銀河系の重力を振り切る最小速度は不明ですが、銀河系にある星々は遠く離れているので、第三宇宙速度とほとんど変わらないかもしれません。
第五&第六宇宙速度があるとしたら?
第五宇宙速度があるとしたら、銀河団の重力を振り切るための最小速度。
第六宇宙速度もあるとしたら、宇宙から脱出するための最小速度になるかもしれません。
もちろん、宇宙から脱出できるかどうかなんて全く検討付きませんが
まとめ
宇宙速度は相対的で、天体の重力によって速度が異なります。
そのため、地球より重力の強い天体は、地球の宇宙速度よりもっと速いスピードを出さないと重力を振り切る事ができないのです。
地球以外の宇宙速度も知りたいです。
太陽系の8つの惑星の第二宇宙速度(脱出速度)は解説している記事もあるので、ぜひご覧下さい。
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